愉快な海賊たち 舞台

「どうしよう…!」 息を切らせて逃げてきた少年が身を隠したのは、一隻の海賊船だった。 初めて見る、広い海。少し冷たい潮風。 生まれてから一度も外に出たことのなかった少年にとって、そのすべてが新しかった。 「いいなあ。僕も冒険がしてみたい!」 「ねえ!じゃあ、一緒に来ない?」 そんな少年を、彼女らは快く受け入れた。しかし、少年には戻らなくてはならない理由があって…。 児童劇台本。約30分
西塔あるは 26 0 0 01/26
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第一稿

愉快な海賊たち
西塔あるは

キャプテン・カリーナ 女 
ヘレン 女 
レミ 女
ルイス 王子 男 
マルコ 悪い臣下 男 
ゴードン マルコの部下 男

海の ...続きを読む
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愉快な海賊たち
西塔あるは

キャプテン・カリーナ 女 
ヘレン 女 
レミ 女
ルイス 王子 男 
マルコ 悪い臣下 男 
ゴードン マルコの部下 男

海の音
レミとヘレンが船に荷物を運んでいる

レミ 楽しみだなー!
ヘレ うん!今日だもんな。出発するの
レミ 海の冒険に、新しい景色、そして何より…
レミ・ヘレ『お宝!』
ヘレ これでこそ海賊!お宝かぁ…何があるかな
レミ なんでもあるわよ
ヘレ 例えば?
レミ 例えばって?
ヘレ レミだったら、何が欲しい?
レミ そうねえ…新しい船とか。ほら、この船乗り心地はいいけど、ちょっと古いでしょ?
ヘレ えー。いいと思うけどなー

カリーナが入ってくる

カリ お、ご苦労様
レミ 船長!おかえりなさい
ヘレ 船長、次の出発は決まったんですか?
カリ ああ、今いる港からずっと南に行く。そこにお宝があるらし
   い
レミ お宝!楽しみだなあ!
ヘレ じゃあ、さっそく行きましょう
カリ まあまあ落ち着け。荷物運んで疲れただろ?出発の前にご飯にしよう
レミ はーい

レミとヘレンとカリーナがはける

ルイスが入ってくる

ルイ どうしよう、このままじゃ見つかっちゃう!そうだ、この箱に…

袖から箱を持ってきてその中に入る

マルコ登場

マル 王子―。どこにいるんですかー。あ、すいません。ちょっとよろしいですか?実はですね、王子がお城から逃げてしまいまして…。それで、今探しているんですよ。見かけてませんか?…ふんふん、なるほど…

マル まったく、困ったものです。勉強も、料理も、掃除だって、あの王子は何一つうまくできません。王様にはふさわしくない…。私が王様ならもっとうまくやれるのになぁ…。いっそいなくなってくれれば…。王子―早く出てきてくださいよー。

マルコはける

レミ、ヘレン、カリーナ戻ってくる

レミ あれ、なにこれ
カリ 運び忘れじゃないか
レミ なるほど。ヘレン
ヘレ なんで!?あの、これはさすがに一人じゃ…
レミ それもそうね。船長
カリ 私!?あの、船長って一番偉いんだけど
レミ 船長―、やって?
カリ …いいよ
レミ ありがとうございます!
ヘレ 船長…

上げ終わる

カリ さあ、いよいよだ。錨を上げろ!帆を張れ!出航だー!
レミ・ヘレン 『アイアイサー!』

オープニング

数時間後 

レミ ねーヘレン。飽きた。代わって?
ヘレ なんでだよ。さっき変わったばっかりだろ
レミ いいじゃん、代わってよー
ヘレ やだよ。…あ、鳥だ!
レミ 鳥!?どこどこ
ヘレ あそこ!
レミ 見えないよー
ヘレ へ?もう、しょうがないなあ
レミ ありがと!

レミは望遠鏡をもらってふらふら歩く

ヘレ おい、前見て。危ないだろ
レミ ダイジョブ、ダイジョブ…あイタッ

レミが箱にぶつかる

ルイ 痛い!
レミ …ねえ、今なんか聞こえたんだけど
ヘレ レミの声だろ
レミ 私じゃないわよ。ねえ、この箱!何かいる
ヘレ んなわけないだろ
レミ ほんとだって

ガタガタ

ヘレ ほんとだ。なにかいるな
レミ どうしよう
ヘレ あけよう
レミ …わかった
レミ・ヘレン 『せーの!』

ルイ こ、こんにちは…
レミ・ヘレン 『…えー!』

カリーナ入ってくる

カリ おい、さっき舵放しただろ。ダメだって言った…えー!
レミ・ヘレン・カリーナ 『だれ!?』

暗転

カリ なるほど。ルイス…つまり、君はあの国の王子様で、そのマルコって人に捕まりそうになって、逃げてきた、と
ルイ ああ。僕を捕まえて、この国の宝物を無理やり奪おうととしてるんだ
ヘレ そんな…
ルイ マルコは自分のことしか考えてない。そんな人に奪われたら、この国は終わりだよ
レミ じゃあ、逆にその人を捕まえちゃえばいいじゃない
ルイ 無理だ…
ヘレ どうして?
ルイ マルコには、とっても強い仲間がいる。ゴードンっていう戦士が
レミ 戦士かぁ…
ヘレ 何者なの?その、マルコって人
ルイ …海賊
カリ 海賊?
ルイ ああ。少し前まで、あいつは海賊だったんだ。宝物の      
   噂を聞いて、僕の国にやってきた。そして…

場転
マルコとゴードンが歩いてくる

マル はーはっは。俺は悪の海賊、マルコ。おいお前ら!この国にあるっていうお宝、どこにあるか知ってるか!…なに、知らないだと?はぁ…せっかく来たっていうのによお。だったら…ゴードン
ゴド おう
マル やれ

ゴードンはける。遠くで住人の悲鳴

マル 知らないんなら用はねえ!はーはっは
ゴド どうやら、お宝の場所は王子が知ってるらしいぜ?
マル なるほど。そうだな、いい作戦を思いついた

場転
再び船の上

ルイ あいつは王子の部下に紛れ込んで、お宝の場所を僕から聞こうとしたんだ
レミ それで逃げてきたのね
ルイ うん
ヘレ 悪の海賊、マルコか。ひどい奴だな
カリ それは大変だったな。とりあえず、落ち着くまでここにいるといい
ルイ ありがとう

ご飯を食べながら話している

ルイ え、あんたたち海賊なの!?
レミ ええ。この船を使っていろんなところを旅してるの
ヘレ あ、でも悪いことはしてないから
ルイ そうなんだ。海賊って悪い人たちのことなんだと思ってた。…旅か。いいな。ねえ、今までどんな旅をしてきたの?
ヘレ 聞きたい!?そうだなぁ

ヘレ ある時は洞窟探検!狭くて細い道を一生懸命進んでいくと、そこにはきれいに輝く宝石たち!こんなに小さいのに、こんなに大きく光っていたんだ!
レミ ある時は穴掘り!三人で力を合わせてこの船が入るぐらいの穴を掘ったこともあるんだよ!まあ、この時は何も見つからなかったけどね

ルイ えーすごいすごい!いいなぁ、僕もやってみたい
レミ ルイスはどんなところに行ったの?
ルイ …僕、いままでお城から出たことがなかったんだ
ヘレ 外に行きたいって思わなかったの?
ルイ 行きたかった。でも、早く立派な王様にならなきゃいけないから。勉強ばっかりだった
ヘレ そうだったんだ…
レミ …
ルイ あ、ごめん。せっかく楽しい話聞かせてくれたのに…。ねえ、よかったらもっと聞きたいな
ヘレ いいよ。んーそうだなぁ…
レミ ねえ、ルイス。お城に、戻りたい?
ルイ え?
レミ まだ、王様になりたい?
ルイ …
レミ もしよかったら、私たちと一緒に来ない?
ヘレ レミ!?
ルイ …なんで?
レミ お城に戻らなかったら、もう捕まらなくていいから。それに、一緒に来れば、楽しい旅ができるし
ヘレ 確かに!ルイス、どうかな
ルイ 僕は……

外からカリーナの声 

カリ おーい。操縦代わってくれー。私もご飯食べたいー!
ヘレ 船長の声だ
レミ いってあげよっか。じゃあね、ルイス
ルイ うん

ヘレンとレミはける
カリーナが入ってくる

カリ あー疲れたー
ルイ カリーナさん
カリ 少しは落ち着いた?
ルイ はい.…カリーナさんはどうして海賊になろうと思ったんですか?
カリ 私?そうだな…海が見たかったんだ
ルイ 海?
カリ 私が生まれたところは海が見えなくてさ、子供のころ、憧れてたんだ。いつか海に行きたいって
ルイ それで海賊に?
カリ ああ。単純だろ?
ルイ そうですね
カリ ルイスは?
ルイ 僕ですか?
カリ ああ。好きな場所とか
ルイ 僕は…僕の国が好きです
カリ そっか
ルイ お城に高い塔があって、そこでいつも外を眺めるんです。森や、建物、楽しそうに遊んでいる子供たち。食べ物だってとってもおいしいし、それに、海も。塔の景色の一番奥に、海が見えます
カリ そっか
ルイ …カリーナさん。僕、お城に戻ります
カリ 決めたの?
ルイ はい。どうすればいいかわかんないけど、でも、お父さんが残してくれた大切な国だから
カリ わかった。じゃあ、私たちも一緒に行くよ
ルイ 本当ですか!?
カリ ああ
ルイ ありがとうございます

ヘレンとレミが入ってくる

ヘレ 船長!大変だ!
レミ なんか変な人たちがはいってきた!
ルイ …マルコだ


マルコ入ってくる

マル こんなところに居ましたか
レミ あんた誰よ!
マル 私はマルコ。さあ、王子。早くお宝の場所を教えてください
ルイ いやだ。そんなことしたらこの国はめちゃくちゃだ!
マル だったら止めて見せなさい。まあ、無理でしょうけどね
レミ ヘレン、捕まえよう
ヘレ でも、強い仲間がいるって
レミ 私たちだって海賊よ?
ヘレ そうだけど……
カリ 戦おう
ヘレ 船長?
カリ あいつは人を傷つけた。あんな海賊、私は許さない

カリーナ前に出る

カリ ルイス、必ず助けるから
ルイ うん
マル ふっ、やれるものならやってみなさい
カリ そうか。なら、力ずくで行く!

カリーナがマルコに切りかかる

マル ほう、弱くはないようですね。あなたたち、何者です?
カリ 私たちは!
カリ・ヘレン・レミ 『海賊だ!』

マルコが追い込まれる

マル なかなかやりますね。それなら

ゴードン登場
カリーナがそのまま鍔ぜりで船の端へ

レミ・ヘレン 『船長!』
カリ 来るな!
レミ どうしよう。このままじゃ
ゴド どうしたどうした。海賊なんだろ!?
ヘレ このー!

ヘレン切りかかるが返り討ち

ゴド これで終わりだ!

カリーナが海に落ちる

マル はーはっは。さて、残りは二人です。ゴードン、やってやりなさい
ゴド ああ!まずはお前だ!
レミ ヘレン!
ヘレ クッ!レミ!ルイス!船長の部屋にあった鉄砲だ!あれならきっと!
レミ 分かった。待っててね。ルイス!
ルイ わ、分かった!
マル 無駄ですよ。こいつに鉄砲は効きません
ゴド おらあ!
ヘレ ハァ…ハァ…

レミ戻ってくるが転んだ拍子に撃ってしまう

レミ へレーン。持って来たわよ!…キャ!
ヘレ 何やってんだ!
ルイ レミ、大丈夫!
レミ う、うん。でも…
マル はい、当たっていません。残念でしたね。こけるなんて。さあ、ここまでです
ヘレ 早く!もう一回撃つんだ!
レミ ごめんなさい!弾は一つしかなかったの。もう撃てないのよ
ヘレ そんな…どうすれば…
ゴド うぅ…

ゴドが耳を抑え苦しそうにもがく

マル どうした。早くやれ!
レミ ねえ、何が起こったの
ヘレ まさか…レミ、ルイス。手を叩くんだ。一緒に
レミ 手を?
ヘレ いいから!せーの

「パン」
ゴードンさらに苦しむ

ヘレ やっぱりそうだ。あいつ、大きな音に弱いんだ
マル そ、そんな馬鹿な
ヘレ でも、三人じゃ足りない…
レミ じゃあ、ここにいる皆にも協力してもらいましょう
ルイ ああ。みんな。この国を守るために、みんなの力を貸してほしい!お願いだ!
レミ 準備はいい?みんなで手拍子をするわよ!せーの

手拍子によりゴードンは剣を放す

レミ やった!みんなありがとう!後は…えい!えい!

レミがゴードンの耳元で手を叩いて船の端まで誘導。落とす

レミ やったー!勝ったわ
ルイ あのゴードンに勝った。すごいよ!
マル そんな…
ヘレ さて、あとは…。マルコ、お前の負けだ!
マル はっはっは。はっはっは!負けなもんか!貴様らこそ、船長はもういねえ!おら、かかって来いよ海賊ども!

マルコがレミとヘレンを吹っ飛ばす

マル 王子、いい加減教えてくださいよ。ねえ、王子
ルイ …いやだ
マル はい?
ルイ いやだ!
マル おいおい、どうしたんだよ
ルイ もう僕は、ひとりじゃない。弱くない。僕は、王子だ!はあ!

ルイスがマルコに切りかかる

マル くそっ!どいつもこいつもふざけやがって!

銃声 バン!
マルコの剣が銃弾に弾かれ、マルコ剣を落とす

マル な、なに!?
ヘレ マルコ、もう終わりだ!
マル くそおおおお!

縛る

ヘレ ところで、さっきのは何だったんだ?
レミ さあ?
ルイ あ…

わかめまみれのお化け登場

レミ・ヘレン・ルイ・マル『ぎゃああああ!』
マルコは気絶

カリ わたしだ
ヘレ 船長!?
レミ なんだ船長かーびっくりさせないでよ
ルイ カリーナさん、生きてたんですね
カリ ああ、何とかね
ルイ じゃ、じゃあ、さっきのはカーリーナさんが?
カリ ああ、さっきレミが落とした銃だ
ヘレ さすがですね

レミが気絶したマルコに気付く

レミ …あれ?おーい
ヘレ どうした?
レミ 気絶してる
ルイ さっきのが怖すぎて?
カリ ちょうどいい。ルイスの国の警察に届けに行こうか
レミ りょうかいです!
ルイ …じゃあ、僕もそこで降ります
レミ え!?ルイス帰っちゃうの
ルイ うん
レミ もっと旅しようよ。絶対楽しいよ!
ルイ ありがとう。でも、僕は王子だから。みんなのこと守らなきゃいけないから
レミ …そっか
カリ まあまあ。またいつか会いに来ればいいさ。それに、ルイスの国に戻るまでまだ一緒にいられるんだし
レミ そうね
ヘレ 頑張れよ、ルイス
ルイ ああ。もう逃げない。立派な王様になってみせるよ
カリ さあ!錨を上げろ!帆を張れ!出航だー!
レミ・ヘレン・ルイ『アイアイサー!』

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