生きる意味は SF

あらゆる学問を統一した一本の式、テンプレート方程式。それをAIが読み込んだことで起きた科学的特異点。それは、人間すらも最適化された世界だった。 エミリーがリタと刺し違え、双方が亡くなったというニュースは瞬く間に、両陣営に広まった。攘夷軍陣営はボンドの弔い合戦の号令により、兵士の士気が今はまで以上に高まっていた。かたや人類解放軍陣営はリーダーであり、心のよりどころでもあったリタを失ったことで力を失う。それから半年後。人類解放軍は壊滅寸前まで追い込まれていた その頃、町外れのエミリー姉妹の生家では。
上田 貴史 14 0 0 08/22
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第一稿

あらゆる学問を統一した一本の式、テンプレート方程式。それをAIが読み込んだことで起きた科学的特異点。それは、人間すらも最適化された世界だった。

エミリーがリタと刺し違え、双方 ...続きを読む
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あらゆる学問を統一した一本の式、テンプレート方程式。それをAIが読み込んだことで起きた科学的特異点。それは、人間すらも最適化された世界だった。

エミリーがリタと刺し違え、双方が亡くなったというニュースは瞬く間に、両陣営に広まった。攘夷軍陣営はボンドの弔い合戦の号令により、兵士の士気が今はまで以上に高まっていた。かたや人類解放軍陣営はリーダーであり、心のよりどころでもあったリタを失ったことで力を失う。それから半年後。人類解放軍は壊滅寸前まで追い込まれていた
その頃、町外れのエミリー姉妹の生家では。

リタ 元人類解放軍リーダー。亡くなったことになっている
エミリー 元攘夷軍エリート軍人。亡くなったことになっている
XRD-8000 エミリーとシェリーの母親代わりのアンドロイド
シェリー  リタの祖母
お母さん  リタのお母さん
ジョナサン テンプレート方程式の提唱者


1部
(椅子2脚舞台中央へ)
XRD-8000
エミリー
(舞台中央へ移動。椅子に座る)
XRD-8000
(優しい声で)
「あなたが戻ってきてくれてから、もう半年。お母さんはうれしいけど、エミリー、あなたは悲しそうね」

エミリー
(頷き)
「私、守れなかった。たいせつな、たいせつなも仲間を守れなかった。そして、今はリタさえも」

XRD-8000
(首を振る)
「でも、あなたはリタを、彼女を守ろうとした。この家に彼女を抱えていたときには驚いたは。リタを止めると言ってでていった子が、「リタを助けて」って泣きながら帰ってきたんですもの」
(エミリーの頭を撫でる)

エミリー
(弱い声から段々と声を大きくして)
「お母さん、リタが死んだら、どうしよう、もう半年も眠ったまま、どうしよう」
(泣く)

XRD-8000
(エミリーを抱きしめる)
「今のお母さんには、テンプレート方程式で解析するすべはないから、リタがどうなるかはわかりません。でも、あなたの思いは彼女には届いているはずよ。きっと。後は、彼女の生きる力、生きたいと願う力を信じるしかありません」

エミリー
(XRD-8000を抱きしめる)
「お母さん」
(さらに声を上げて泣く)
「ずっと黙っていたことがあるの、」

XRD-8000
(エミリーを抱きしめながら、頭を撫でる)
「よしよし、例えどんな隠し事をされていても、私はあなたの母親よ」

エミリー
(涙を拭き)
「お母さん、あのね。リタは、リタは、シェリーの孫なの。死んじゃったら、どうしよう」
(また大声で泣く)

XRD-8000
(エミリーを強く抱きしめるを)
「一人で、よく抱えてきましたね。強い子よ、あなたは。リタは、リタはきっと目を覚ますは」
(驚いたように大きな声で)
「リタがシェリーの孫!?」

エミリー
(びっくりして泣き止む)
「そうよ。シェリーは、未来を変えるために過去に行くの。そして、過去から受け継がれたシェリーの思いがリタなの。あ、お母さんはリタからしたら曾祖母ね」

XRD-8000
(からかうように)
「私も一気に年老いたみたいね」

エミリー
(くすくすわらう)
「そうね。ありがとう。お母さん。少し楽になった。ちょっとリタをみてくるね」
(立ち上がる)

XRD-8000
(立ち上がる)
「私も行くわ」

エミリー
(舞台袖へ)

XRD-8000
(確かめるよに)
「シェリー、あなたの孫は、必ず私が助けるからね。そらの上で見てて」
(天を仰ぐ)
暗転
XRD-8000
(舞台袖へ)

(椅子2脚、舞台袖へ)

2部
リタ
(舞台中央へ)
リタ
(周りを見回し)
「ここは?そっか、私はエミリーをかばってロボットに撃たれて、死んだのね。そして、ここはおそらく地獄。多くの血を私は求めてしまった。それは許されることではないわけ」
(右側舞台袖をみる)
「あっちに誰かいる。とても、とても懐かしい気配がする」
(走るように、右側舞台袖へ) 

暗転
(お母さん舞台中央へ)
明るくする

リタ
(舞台袖から出る)
「お、お母さん」
お母さん
(微笑む)
「リタ」
リタ
(驚く)
「え!?」
お母さん
(さやしい声で)
「たとえあなたが名前を変えようと、私はあなたの母親よ。さぁおいでリタ」
リタ
(お母さんに抱きつく)
「ごめんなさい。ごめんなさい、お母さん。あのあと、ひどい目に遭ったよね?私のせいで」

お母さん
(無言で強くリタを出し決める)

リタ
(泣く)
「わたし、わたし怖かった。わたしのせいで多くの人が亡くなった。怖かったの。どんなに強く見せても、崩れそうなほど怖かったの」

お母さん
(頭を撫でる)
「あなたはよく頑張りました。私は誇らしいわ。あなたの母親として生きてれたことをうれしく思っているの。リタ、ありがとう」

リタ
(泣く)
「私はもうここにいる。お母さんのそばにいる」

お母さん
(優しい声で)
「リタ、この先であなたを待ってる人がいます。その人たちと会いなさい。そして、あなただけの答えを見つけなさい。その時に、あなたがここにいることを選んでも私は何もいいません。それが、あなたの答えなら、私は尊重するわ。さぁ、リタ、行きなさい」
(右側舞台袖方向にリタの背中を押す)

リタ
(右側側舞台袖へ)
暗転
(お母さん舞台袖へ)
(シェリー舞台中央へ)
明るくする

リタ
(舞台袖からでる。シェリーを見つけて駆け出す)
「シェリーおばあちゃん」
(シェリーに抱きつく)

シェリー
(リタを抱きしめる)

リタ
(泣きながら)
「ごめんなさい、おばあちゃんを過去に送ったりして、苦しかったよね、寂しかったよね」

シェリー
(優しい声で)
「リタ、おばあちゃんは過去に行けたから、あなたのおばあちゃんになれたのよ。おばあちゃんのほうこそありがとう」

リタ
(声を上げて泣く)
「私、私、もうどこにも行かない。おばあちゃんのそばにいる」

シェリー
(リタの頭を撫でる)
「リタ、おばあちゃんは、まだあなたにここに来てほしくないの。生きてて欲しい。おばあちゃんはいつもあなたのここにいるわ」
(リタの胸を指さす)
「忘れないで、あなたは何と呼ばれようと、おばあちゃんのかわいくて自慢の孫です。でも、もしあなたがここにいたいと言うなら、私は受け入れるわ。でも、今のあなたはそうは思っていないのでしょ?」

リタ
(涙を拭く)
「何を言ってるの、おばあちゃん。ずっとそばにいたい!ここにいたい!」

シェリー
(首を振る)
「胸に手をあてて、あなたの生きたいと願う炎の温もりを確かめみて。まだ、冷え切ってないなずよ」

リタ
(胸に手を当てる)
「温かい。でも、でも、私」

シェリー
(リタを抱きしめて)
「怖かったでしょう、痛かったでしょう、寂しかったでしょう、つらかったでしょう。でもね、あなたはそれ以上に尊いものを見つけられたはずよ。嫌な思いにとりつかれるのもいい、でも、その裏であなたを待っている幸せを見逃さないで」

リタ
(鼻をすすり)
「おばあちゃん、私」

シェリー
(リタの両肩を励ますように叩き)
「よし、もう大丈夫ね。リタ。この先に、あなたを待ってる人がいる。行きなさい。あなたのおじいちゃんのところへ」

リタ
(訳が分からない様子で)
「私の、おじいちゃん」

シェリー
(右側舞台袖の方へリタの背を優しく押す)
「行けばわかるは。言って、その心で確かめて来なさい。あなたの出した答えの答え合わせをするために」

リタ
(頷く)
(右側舞台袖へ)
暗転
シェリー
(舞台袖へ)
ジョナサン
(舞台中央へ)
明るくする

リタ
(舞台袖から出る)
「あなたが、私のおじいちゃん」

ジョナサン
(下の方を見てやさしく頷く)
「リタ、はじめましてだね。私はジョナサン。君の祖父だよ」

リタ
(ジョナサンの名前を繰り返す)
(ハッとして、ジョナサンをみる)
「ジョナサン、テンプレート方程式の提唱者。そして、科学的特異点を起こした人。あなたが、あなたが、」
(怒るように)
「あなたが、AIに読み込ませなければ、失われなかった命は多かったのよ」

ジョナサン
(はっきりした声で)
「許してもら得るとは思ってない。ただ、リタ、お前に伝えなければならないことがある」

リタ
(睨むように)
「あなたの血が、この身に通っていると思うと、この体が憎くさえある。でも、歴史は変わらなかった」

ジョナサン
(首を振った)
「変わったんどよ。歴史が。彼女、シェリーを過去に送ってくれたことによって。私のテンプレート方程式は、かつてあらゆる国家から狙われていた」

リタ
(戸惑うように)
「え?」

ジョナサン
(続ける)
「大いなる知識は大いなる力になる。あの方程式は、全てを制御できる。それは、人や国家ですら。そう、人はこの方程式を兵器としてしか見てなかった。そして、あの日、妻子を亡くしたわたしの前にシェリーがあらわれた時、歴史は動いたんだ。未来で、リタ、お前がいてくれたことで私は希望を未来へつなげられた。しかし、私はそれを見届ける前にここに来てしまった」

リタ
(首を横に振る)
「私がシェリーを未来へ送ったことで、あなたはテンプレート方程式をAIに読み込ませた。それも祈りとして。もし、私がシェリーを送らなければ、もっと凄惨な未来が待っていた。何よ、それ。そんなの、ひどすぎるわ。あなたは、たった一人でそれを背寄ってきた。私を信じて」

ジョナサン
(目を閉じて、静かに語る)
「テンプレート方程式は、まだ未完成なんだ」

リタ
(驚くように)
「えっ?」

ジョナサン
(目を開いて)
「テンプレート方程式は、骨格でしかない。全てを知るにはそこに意味という重み付けが必要なんだ。そして、それはおそらくAIには不可能だ。しかし、私がそれに気づいたときには、私の命はもう、」

リタ
(涙をふくように)
「そんな、悲しすぎる」
(何かに気づいたように)
「骨格と意味、人とAI」

ジョナサン
(頷く)
「答えは出たようだね。リタ」

リタ
(恥ずかしそうに)
「お、おじいちゃん、ありがとう」

お母さん
シェリー
(リタのそばへ行く)

お母さん
シェリー
ジョナサン
(リタを抱きしめる)

リタ
(嬉しそうに)
「お母さん、おばあちゃん、そして、おじいちゃん」

ジョナサン
シェリー
お母さん
(やさしく)
「リタ、行きなさい。選んだ道の方へ。私たちは、あなたの心のなかでいつも見ています、いってらっしゃい」

リタ
(みんなに手を振り)
「行ってきます」
(左側舞台袖へ移動)

暗転
(声のみ)
XRD-8000
(大きな声で)
「エミリー、リタが、リタが目を覚ましたわよ」
エミリー
(嬉しそうに)
「リタ、リタ!!」
リタ
(少しか弱い声で)
「ここは?」

3部
(椅子3脚舞台中央へ)
リタ
エミリー
XRD-8000
(舞台中央へ移動、椅子に座る)

エミリー
(リタの方をみて)
「体はもう大丈夫?リタ」

リタ
(力強く頷き)
「二人のおかげで、もう元気よ」
(一度下を向いてから、二人を見つめて)
「寝てる間、祖父であるジョナサンとあったの」

エミリー
XRD-8000
(声を揃えて)
「ジョナサンって、あの?」

リタ
(頷く)

エミリー
(考えてから、急に笑う)
「と、いうことは、シェリーのやつ。やるわね。さすがわたしの妹」

リタ
(力強く)
「テンプレート方程式には、意味が必要だったの。完成するには。しかし、今それが欠如しているの。だから、わたしの行こうと思う」
(XRD-8000をみて)
「あなたとエミリーのような関係もあるってことよ」

XRD-8000
(リタの手を握る)
「見つけたのね、やるべきことを」

リタ
(頷く)

エミリー
(力強く)
「私も行くわ」

リタ
(驚きながら、でも、心配した声で)
「エミリー、アンドロイドはあなたを殺そうとしたのよ。行けばまた、殺されるわ」

エミリー
(首横に振り)
「だからよ」

リタ
(首をかしげる)

XRD-8000
(リタを見つめて)
「私からもお願いするわ。今の貴方には、きっとエミリーが必要よ」
(2人を見て)
「でも、約束してちょうだい。必ず帰ってくるって」

リタ
エミリー
(強く頷く)

XRD-8000
(元気よく立ち上がり)
「なら、おいしいミートスパゲッティでも作って元気つけなきゃね」

エミリー
(子供っぽく)
「お母さんのミートスパゲッティ、世界一なんだから」

リタ
(子供っぽく笑って)
「楽しみ」

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