〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・三柴雄太
・松本一樹
・中島英二
・中島麗奈
・中島海斗（７）英二の子供
・古川紘
・長谷川なつき
・聖川琉華
・竹野内亮

〇『ＰＡＲＴ７』・前（朝）
　　　ドアを開け外をのぞき込む宗介。
　　　目の前に英二が立っている。
宗介「あのなぁ、大概しつこいぞ」
英二「…」
宗介「それ以上、千秋に近づいたら警察呼ぶぞ？」
英二「…」
宗介「どうなんだよ？」
英二「もぅこれで…最後にするよ」
宗介「信じらんねぇ」
英二「（語気を強めて）本当に最後だ！」
宗介「う…」
英二「本当に」
　　　英二の目を見ている宗介。
　　　英二が宗介の前に手紙を差し出す。
宗介「何だよこれ…」
英二「千秋に渡しておいて欲しい」
宗介「…」
　　　英二から手紙を受け取る宗介。
宗介「分かった」
英二「これで、もう千秋とは会わない」
宗介「本当だな？」
英二「あぁ」
宗介「分かった」
英二「それじゃ」
　　　店を後にする英二。
　　　英二の後姿を見送っている宗介。

〇同・中・厨房（朝）
　　　宗介が来る。
千秋「宗ちゃん…何話してきたの？変な事してないよね？」
宗介「変な事って何だよ…これ」
　　　千秋に英二からもらった手紙を渡す宗介。
千秋「？」
宗介「あの男が、千秋に渡してくれって。それと…もう千秋には会わな
　いからって」
千秋「そう…」
　　　宗介から手紙を受け取る千秋。

　　　×　×　×（時間経過　同・厨房・夜）

　　　仕事終わりで千秋だけが残り、英二の手紙を開き読み始める。
英二の声「千秋。今まで色々と傷つけてきてすまなかった…俺、今度北
　海道へ転勤で行く事になった。会社の経営が厳しくなってきて。まぁ
　左遷みたいなもんなんだけど…結構落ち込んでた時に、ふと千秋の事
　思い出して、俺からフッておいてなんだけど、やっぱ俺千秋の事好き
　なんだなぁって思って」
千秋「…」
英二の声「だから妻に正直に千秋の事も、千秋の働いてる所も言ったり
　して、結局妻がそっちに行って千秋を殴った事も、申し訳ないと思っ
　てる。妻には泣かれて別れたくないと言われた。その時、子供の顔見
　たんだけど…凄く悲しそうな顔してたんだ。子供がそんな顔をするま
　で、周りが見えなくなってたって…ほんと最低だなって思ったよ…最
　低な父親だ。千秋との事はいい思い出として胸にしまって、もう一度
　家族でやり直そうと思っている。本当に色々と申し訳なかった。それ
　も頑張るから、千秋も今の彼氏と頑張って欲しいと心から願ってい
　る。それじゃ…元気で」

〇英二夫婦のマンション・前・道（夜）
　　　英二が帰ってくると、麗奈と子供の海斗（７）が立っている。
海斗「パパー！」
　　　海斗が走って英二に抱き着いて来る。
　　　麗奈の所へ行く英二。
麗奈「…」
英二「こんな時間まで待ってたのか？」
麗奈「だって、海斗がパパを迎えに行くって言うから」
英二「（フッと笑って）海斗、遅くなってごめんな」
　　　海斗を降ろす英二。
英二「ちゃんと全部話してきた」
麗奈「そう…」
　　　頷く英二。
英二「麗奈。ごめんな」
麗奈「うぅん…」
英二「さっ、家に戻ろう。海斗明日また学校だろ？早く寝ないと、遅
　刻するぞー」
　　　英二が麗奈と手を繋ぐ。　　　
　　　英二家族の後姿。

〇シェアハウス・リビング（夜）
　　　ソファで雑誌を読んでいる宗介。
　　　千秋が帰ってくる。
千秋「ただいま」
宗介「（雑誌を読みながら）おかえり」
　　　溜息を付く千秋。
宗介「俺、寝るわ」
千秋「ちょっと」
　　　宗介の隣に座る千秋。
宗介「何だよ」
千秋「待っててくれたんでしょ？俺が帰ってくるの」
宗介「別に…」
　　　立ち上がろうとする宗介の手首を掴み座らせる千秋。
宗介「イッてぇ…イッてぇなぁ…」
千秋「英二との事はもう終わったから」
宗介「…」
千秋「もぅ、彼とは会わない。彼も手紙の中にそう書いてあったから」
宗介「本当に？」
千秋「本当に」
宗介「そうか…」
千秋「ちゃんと奥さんと話し合って、元の鞘　に戻る事になったって」　　
宗介「…」
千秋「英二達仕事で北海道に行く事になった　んだって。小さな子供も
　居るし、北海道で家族でまた改めて幸せ築いて行ってもらいたいなっ
　て思った」
　　　不服そうにしている宗介。
千秋「宗ちゃん、何か怒ってる？」
宗介「別に」
千秋「いーや、怒ってる」
　　　宗介の頬をツンツンとする千秋。
　　　千秋の手を払いのける宗介。
宗介「止めろや」
千秋「じゃあ、何で怒ってるんだよー」
宗介「何か、あいつに優しいじゃねぇかよ…」
　　　吹き出して笑う千秋。
宗介「な、何だよ。何が可笑しいんだよ！」
千秋「もしかして妬いてる？」
宗介「はぁ？」
千秋「だって…（笑って）ねぇ…」
宗介「そんなんじゃねぇっ」
千秋「分かった分かった、そんなに怒らなくてもいいじゃん。もぅ会う
　事は無いけど、一度は愛した人だったし、その人がちゃんと今も幸せ
　に暮らしてるって思ったら、今俺も幸せだなって気持ちがさ」
　　　宗介の手を握る千秋に照れる宗介。
宗介「意味分かんねぇし」
千秋「宗ちゃん、恋愛経験ほぼゼロだもんなぁ」
宗介「言ったな！言ってはいけないやつを言ったな！」
　　　千秋から手を離し、立ち上がる宗介。
千秋「ちょっと、宗ちゃん？」
宗介「もういい。寝る！」
千秋「宗ちゃん、ちょっと待って」
　　　リビングを出て行く宗介。
千秋「宗ちゃんってば！あぁ…行っちゃった…今日も一緒に寝ようと
　思ったのに…」
宗介の声「もぅ寝ねぇよ！」
千秋「うわぁ…聞こえてた…」

〇同・二階・廊下（夜）
　　　宗介がブツブツ言いながら階段を上ってくる。
宗介「ったく、何なんだよ。千秋のやつ」
紘の声「ちーちゃんがどうしたの？」
　　　宗介が顔を上げると紘が立っていて驚く宗介。
宗介「うわっ！」
紘「ちーちゃんがどうかしたの？」
宗介「何が？」
紘「だって、宗ちゃん階段上がりながら、千秋が千秋がって言ってたか
　ら」
宗介Ｍ「聞いてたのかよ」
宗介「別に何でもねぇよ」
　　　自分の部屋に入っていく宗介。
紘「コワッ…何怒ってんだよ…」
　　　首を傾げる紘。

〇同・同・宗介の部屋・中（夜）
　　　宗介が来る。
宗介「千秋の奴！」
　　　ベッドに身を投げる宗介。
宗介「何かムカつく！」

〇同・一階・リビング（夜）
　　　千秋がリビングで片付けている。
　　　紘が来る。
紘「おぉ、ちーちゃん。おかえりー」
千秋「ただいまー」
紘「なんだかご機嫌だねえ。いい事でもあった？」
千秋「うん、まぁちょっとねぇ」
紘「さっき宗ちゃんが、何か怒ってたんだけど知ってる？」
千秋「さぁ…？今日は一緒に帰ってきてないから…」
紘「千秋が、千秋が！って怒りながら階段上ってきてたからさあ」
千秋「あぁ…（察して）ちょっと宗ちゃんからかったら、本気にしちゃ
　ってさぁ」
紘「ちーちゃんも意地が悪いなぁ」
千秋「ちょっとー人聞きの悪い事言うなよー」
紘「宗ちゃん、結構本気にしやすいんだから　
千秋「まぁちょっとスパイスをねぇ。時々はいいの」
　　　笑う千秋と紘。

〇シェアハウス・外観（朝）
　　　字幕『数日後』

〇同・リビング（朝）
　　　宗介と千秋が朝ご飯を食べている。
　　　七緒がリビングに来たり出たりを繰り返している。
宗介「なぁ千秋」
千秋「ん？」
宗介「セブン何してんだ？」
千秋「さぁ…さっき聞いたんだけど、ちょっと…しか言わなくて」
　　　仕事から帰ってきたなつきと七緒がぶつかる。
なつき「イタッ！七ちゃん」
七緒「あっなつきさん…お仕事ご苦労様です。お帰りなさい」
なつき「た、ただいま…どうしたの？七ちゃん」
七緒「いやちょっと…」
　　　玄関へ行く七緒。
なつき「ねぇ、どしたの七ちゃん」
宗介「分からん」
なつき「分からんって…」
七緒の声「（大声で）来たーーーーーー！」
　　　七緒の声に驚く宗介達。
なつき「え？何？」
宗介「何だよ、何が起こった？」
千秋「七ちゃん！」
　　　玄関へ行く宗介達。

〇同・玄関・中（朝）
　　　宗介達が来る。
　　　七緒の声を聴いて紘が二階から下りてくる。
紘「どしたの？七ちゃんの叫び声がしたけど」
千秋「ちょっと七ちゃん？」
宗介「何が来たんだよ…」
七緒「今、分かります」
　　　玄関が開き、琉華が帰ってくる。
　　　皆が集まってるので腰が抜けそうになる琉華。
琉華「お、おぅ…」
なつき「もしかして来たって…」
宗介「琉華が帰って来たって事？」
七緒「はい」
琉華「ただいま」
　　　七緒が笑顔で頷いている。
七緒「おかえりなさい！」
　　　　七緒が琉華に抱き着く。
琉華「ちょ！セブン！」
七緒「おかえりなさい」
琉華「ただいま…あぁびっくりした…」　　
　　
続。