〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・三柴雄太
・松本一樹
・中島英二
・聖川琉華
・竹野内亮
・ツバサ
〇シェアハウス・リビング(夜)
宗介と千秋が夜食を取っている。
宗介「これ、うめぇな」
きゅうりのたたきを食べる宗介。
千秋「でしょ?今度お店出そうかなって思って」
宗介「簡単だし、コストもそんなかかんねぇしなぁ。あーうめぇ」
二人きりで、半分そわそわしている千秋。
千秋「ねぇ、宗ちゃん」
宗介「ん?」
千秋「もうちょっと、そっちに行ってもいい?」
宗介「え…」
千秋「七ちゃんも、琉華もなっちゃんも仕事で居ないし、紘は寝てるし
朝まで起きてこないから」
言いながら宗介の隣へゆっくり行く千秋。
千秋「家に二人きりみたいなもんだからさ… 」
宗介「お、おぅ…」
宗介にくっつく千秋。
千秋「あぁ、何か幸せ…」
宗介「そうか?」
千秋「そうか?って宗ちゃんは幸せじゃないの?す、好きな人とこ
うやって二人きりって…」
宗介「ま、まぁ悪くないよな…」
宗介の手を握る千秋。
宗介「千秋…」
千秋「宗ちゃん…キス…したい」
宗介「…」
千秋「ダメ?キスだけでいいから」
宗介「ダメ…じゃ、ねぇよ」
見つめ合う宗介と千秋。
キスをしようと顔を近づける所で七緒と琉華が帰って来る。
琉華「ただいまー」
キスを止め慌てて、何もなかったかのように振る舞う宗介と千
秋。
千秋「…」
宗介「(声が裏返り)お、おかえりー!!」
琉華「あ?何やってんだ?」
宗介「な、何って?別に何もやってねぇよ」
七緒が察してニヤけてしまう。
千秋が七緒を見ると目配せをしている。
琉華「あー腹減ったー」
ソファーに座る琉華。
千秋「琉華、仕事じゃないの?」
琉華「仕事だったんだけどさ、今日は客の入りが悪くて早く上がったん
だ」
千秋「あっそ」
琉華「聞いといてその反応かよ!不景気なんかなあ。営業かけてもな
かなか来てくれない子ばっかでさ。あー腹減った」
宗介「飯食ってないのか?」
琉華「あぁ。帰りにセブンと会ってさ家帰って飯食おうぜってなって」
宗介「じゃ、セブンも飯食ってない?」
頷く七緒。
宗介「分かった。何か作ってくるよ(千秋に)飯あったよな?」
千秋「うん」
宗介「チャーハンでいいか?」
琉華「ラッキー!おなしゃーっす!」
七緒「お願いします」
宗介「おぅ」
キッチンへ行く宗介に千秋も続く。
〇同・キッチン(夜)
宗介と千秋が来る。
宗介「おい、バレてないよな?バレてないよな?」
千秋「大丈夫だと…思うよ?」
宗介「あぁ、ビビって声裏返っちゃったし」
千秋M「七ちゃんはもう気付いてるけど…」
宗介「取り合えずセーフだな」
千秋「あぁ、でも…惜しかったなあ」
宗介「え?」
千秋「キス位したかったなぁって…」
宗介「…」
千秋「まだ付き合いだしたばかりだから、それ以上の事は求めてない
けどさ…」
宗介が素早く千秋の頬にキスをする。
千秋「!」
宗介「これでいいだろ…今日の所は」
千秋「宗ちゃん」
宗介に抱き着く千秋。
宗介「おい、止めろ!」
琉華の声「宗介ー腹減ったー!」
宗介・千秋「…」
〇同・琉華の部屋・中(夜)
ベッドで横になっている琉華。
琉華「椿さん…」
椿の事を思いながら、スウェットの中に手を入れていく琉華。
琉華「椿さん…」
自慰を始める琉華からF.O。
〇同・千秋の部屋・中(夜)
千秋が溜息を付きながら、ベッドに倒れこむ。
宗介にキスをされたところの頬を指で撫でる千秋。
千秋のスマホのメールの着信が鳴る。
千秋「誰だろ…」
スマホを操作して、メールチェックする千秋。
千秋「…」
メールの相手は英二からで、ディスプレイには会いたいと書いて
ある。
千秋「今更会って…どうすんだよ…」
〇同・リビング(日替わり・朝)
宗介が仕事の準備をしている。
千秋が部屋から出てくる。
宗介「おぅ、準備出来たか?」
千秋「うん…宗ちゃんあのさ」
宗介「ん?」
千秋「今日ちょっと寄る所があるから、先に店に行っててくれる?」
宗介「あ?あぁ、いいけど。何かあったのか?」
千秋「うん」
宗介「さっき飯食ってる時もちょっと変だったけど、体調でも悪いのか
?」
千秋「いや、大丈夫。ちょっと仕入れの件で話しときたい事があって。
亮さんにはさっき電話で伝えたから」
宗介「そっか…じゃ、先に行ってるな」
千秋「うん。じゃあ後で」
〇『PART7』・中・厨房
宗介と亮が仕込みの準備をしている。
雄太と一樹が出勤してくる。
雄太「おはざまーっす」
一樹「おはようございます」
亮「おはよう」
宗介「おぅ、おはよう」
雄太「あれ、千秋さんは?」
宗介「今日は、ちょっと遅れてからくるって」
一樹「何かあったんですか?」
宗介「なんか仕入れ先の人と話があるからって。それ済ませてから来る
みたい」
亮「なので、千秋さん居ないから、その分準備二人とも頑張ってね」
一樹「はい」
雄太「うぃっす」
〇カフェ・店内
千秋と英二が向かい合って座っている
千秋「あのさ…話って何?」
英二「そんな、ツンケンした言い方しなくてもいいだろ。久しぶりにこ
うやって会ったのに」
千秋「電話はしょっちゅうしてきてたけどね…」
英二「(笑って)電話しても出なかったり、会ってくれなかっただ
ろ?だからこうやって直接会いに来た」
千秋「前に一度会った時もう連絡してこないでって言ったはずだよ?
そっちからフッておいてよくそんな事出来るよね」
英二「あの時は…本当に悪かったって思ってるよ…」
千秋「そんな言葉信用出来ない」
英二「…」
千秋「ゲイだって言ってたのに、女と関係持って妊娠させて子供が産ま
れるから別れてくれって。突然そんな事言われた俺の気持ち分かる
?」
英二「その事なんだけどさ」
千秋「何?」
英二「俺、妻と別れる事にした」
千秋「は?」
英二「やっぱ俺…女性と一生添い遂げる事なんて出来ない…」
千秋「ちょっと…何言ってんの?自分で何て言ってるか分かってんの
?」
怒りで体が震えだす千秋。
英二「分かってるよ…ここまで経験して分かった事だから言ってんだよ
…」
千秋「…」
英二「俺達夫婦関係はもう破綻してるようなもんなんだ。後は妻に話し
て正式に離婚の手続きを済ませれば一人になれる。だからその時は改
めてまた俺とやり直してほしい…頼む!」
頭を下げる英二。
千秋「ちょっと…無理だよそんなの…」
英二「え?」
千秋「無理」
英二「何で?」
千秋「今、俺付き合ってる人がいるから。そんな事今言われても無理」
英二「付き合ってる人が居るって…前に会った時そんな事言ってなかっ
たじゃないか」
千秋「その時はまだ…付き合うまで行ってなかったから」
英二「どういう奴なんだ。千秋の付き合ってる人って」
千秋「そんなの聞いてどうすんの?」
英二「気になるじゃないか。元カレがどんな人と付き合ってるのかなっ
て」
コーヒーを飲む英二。
千秋「今、一緒に…住んでる」
英二「へぇ、シェアハウスの同居人なんだ。それで」
千秋「それでって…」
英二「その彼って、もしかしてノンケ?」
言葉に反応してしまう千秋。
英二「やっぱり、そうか…」
千秋「だったら何?」
英二「千秋、言ってたじゃないか好きになるのは大体ノンケだって。ノ
ンケと付き合って長続きなんかすると思ってんの?」
千秋「く…」
英二「俺はバイだけどさ、ノンケと付き合うよりはいいんじゃないか
?」
千秋「よ、余計なお世話…」
英二「俺は、千秋の事を思って言ってんだ。どういういきさつで付き合
う事になったか知らないけど、元々ノンケだった人間が男を好きにな
って付き合うなんて…俺には考えられないな」
千秋「…」
英二「一時の感情で、気持ちが揺れてるだけで、本当に千秋と付き合い
たいと思ってるのかなあ?彼は…気持ちが落ち着いた時に千秋が捨
てられるのとか見たくない」
千秋「そんな事ない」
英二「って絶対に言い切れる?所詮はノンケだ。俺達側には来れない
んだよ」
〇同・前の道
鼻歌を歌いながら、ランニングをしているツバサ。
ふと、店内を見て千秋と英二が話してるのを見かけ足を止める。
ツバサ「あれ、千秋?」
千秋と英二を改めてみるツバサ。
ツバサ「あら…あそこに居るのって千秋の…ってか何で?何で一緒に
居るの?」
〇同・中
千秋と英二。
英二「俺もちゃんと今の妻との事はきっちりけじめつける。だから千秋
も」
千秋「勝手な事ばかり…」
英二「え?」
千秋「勝手な事ばかり言ってんじゃないよ」
英二「千秋…」
千秋「もう英二との事は終わったの。今の奥さんと別れるのは勝手だけ
ど俺の事はもう放っておいて…関わらないでくれ」
千秋の目が涙で滲んでいる。
千秋「さようなら」
店から出て行く千秋を見送っている英二。
〇同・前
千秋が店から出てくるのに気付き物陰に隠れるツバサ。
千秋は目に涙を浮かべたまま歩いて行く。
ツバサ「千秋…」
続。
コメント
コメントを投稿するには会員登録・ログインが必要です。