〇登場人物
・櫻庭宗介
・沢城千秋
・星七緒
・古川紘
・長谷川なつき
・聖川琉華(21)シェアハウスメンバー ホスト
〇シェアハウス・部屋・中(朝)
眉間に皺を寄せながら、目を覚ます宗介。
宗介「やべ、寝ちまった…会計して…」
体を起こす宗介。
宗介「あ?」
周りを見渡す宗介。
宗介「え?ここ…どこ?」
F.O
〇同・リビング(朝)
ソファーに座っている宗介と向かい合って座っている千秋、七
緒、紘、なつき。
宗介「さっきは取り乱してしまってすみません…」
頭を下げる宗介。
千秋「いえいえ、こちらこそ、そちらの同意を得ず勝手に連れてきて
しまってすみません…」
千秋も頭を下げる。
宗介「いえ…泊めて頂いてとても助かりました。それじゃ僕はこれで
失礼しますので」
千秋「いや、ちょっと待って」
宗介「え?」
千秋「だから、ここで住みませんか?」
宗介「いえ、住みません」
紘「えぇ…即答」
千秋「そんな、頑なにならなくても」
宗介「見ず知らずの皆さんにご迷惑かける訳にはいかないので…一日
泊めて頂けただけでも感謝ししてす。では」
なつき「本当に行っちゃうんですかぁ?」
宗介「失礼します」
立ち上がりリビングを出ようとする宗介。
七緒「ちょっと待って」
宗介「え?」
七緒が立ち上がり宗介の所へ行き顔の前で手をかざす。
宗介M「え?また?」
七緒「見えます」
宗介M「何が?」
七緒「あなた。このまま出ていくと、不幸に見舞われますよ。仕事も
失って、家も失って。親は夜逃げ同然で行方不明…貯金もほぼ底を
ついて今回貰ったお給料が無くなれば、もうホームレスになります
よ?」
宗介「え?何でそこまで知ってるの?」
なつき「七緒ちゃん。占い師なの」
宗介「は?」
紘「あぁ、七緒は仕事の占いで使ってる名前…作家で言うペンネーム
みたいなやつ?本名は」
大きな咳払いをする七緒。
紘「わり…」
七緒「仕事も住む所も希望する所は見つからない相が出てます。素直
にこの運命に従った方がいいと」
宗介「だ、だったら…」
七緒「私がここまで言っても従わないんですね?だったら私はもう止
めませんが…ちょっとしたタイミングで人の運命は吉にも凶にも変
わるのです。そのアドバイスを申してるのに無視するのであればこ
のまま延々と地獄のような日々を送ったらいいと」
紘「(なつきに耳打ち)本当に当たってるのか?」
なつき「(紘に耳打ち)うーん…目を見てる感じハッタリではないか
も。悪い予感は良く当たるし」
七緒「そこの二人うるさい」
千秋「いいじゃないですか?取り合えずここに住むって事にして。こ
れからの事をここでゆっくり考えたら」
宗介「う…」
ソファーに座り直す宗介。
宗介「じゃ、じゃあ…よろしくお願いします」
千秋「はい!じゃあ決まりね!」
拍手をする千秋。
千秋「じゃあ、まずお互いに自己紹介しよう」
千秋達が宗介の顔を見る。
宗介「え?お、俺から?」
頷く千秋達。
宗介「櫻庭宗介。三十歳。弁当屋で働いてたんだけど、急に閉店にな
って家に帰ったら親が借金してて夜逃げ。家は借金の抵当に入れら
れてて、明け渡し。どうしようもなくて居酒屋で酒飲んで寝ちゃっ
てたらいつの間にかに(千秋を見て)この人にここに連れられてき
た」
千秋「宗介君ね宗ちゃんって呼ぼうか」
宗介「え…(恥ずかしい)」
千秋「ここは皆ニックネームで呼び合ってるから。あっ俺は沢城千秋
ちーちゃんって呼ばれてる。ここの家主と新宿でカフェのオーナー
してます。よろしく」
七緒「私は、星七緒。もうご存じでしょうが占いをやってます。新宿
まで時々出張で鑑定してますが基本はネットや電話で依頼を受けて
ますよろしく」
宗介M「ずっと真顔で怖い…」
紘「あっ俺は古川紘。コスプレイヤーやってる。結構有名なイベント
や写真集も出してるんだ。後、短期で派遣の仕事もしてるかな。今
いるメンバーでは一番長くここに住んでるよ。よろしく」
宗介M「コ、コスプレ…でも男のコスプレか…興味ねぇ…」
なつき「僕は長谷川なつき。漫画家をやってる…って言っても一年前
に一冊しか出版してなくて…そこからなかなか先に進めなくて漫画
家って言えるかどうかって感じなんだけど…」
宗介「マンガ描いてるんですか?凄いなあ。ちなみにどんなジャンル
を?」
なつき「宗ちゃん、読んだ事あるかなあ…BLなんですけど」
宗介「え?」
なつき「BL.ボーイズラブ」
宗介M「B、BL!!!!」
宗介「あぁ…読んだ事無いなぁ…ははは…」
なつき「BLの世界はファンタジーに溢れてて、楽しいし泣ける作品も
沢山あるんですよ!今度貸しますので読んでみて下さいね!」
宗介の手を握り、力説してるなつきに宗介は引いている。
千秋「まぁこんなメンバーで楽しく過ごしてるから、宗ちゃんもきっと
楽しく過ごせると思うから。あっそうそうもう一人このシェアハウス
の住人が居るんだ」
宗介「え?一体このシェアハウス何人居るんだ…」
千秋「宗ちゃん入れて皆で六人かな」
宗介「六人も…」
千秋「大丈夫。ちゃんとそれぞれ個室として部屋はあるんだから。一人
出て行っちゃったからそこに宗ちゃんが入るようになるから。一応皆
で決めたルールとかあるからその辺は追々って事で」
紘が壁に掛けてある時計を見る。
紘「あっ、やべっ。俺出掛ける。これからコスプレサークルで集まりが
あるから。そのまま夜、静岡に行ってくるから飯いらない。じゃあ宗
ちゃんこれからよろしくねー。行ってきます」
七緒「私は講習会へ行ってきます」
紘「じゃ、途中まで一緒に行こうぜ」
七緒「はい」
リビングを出る紘と七緒。
なつき「行ってらっしゃい。僕は部屋に戻って絵を描きまぁす」
男の声「ただいまぁ」
千秋「あっ帰ってきた」
宗介「誰が?」
なつき「もう一人のここの住人」
眠そうな顔をして頭を掻きながら入ってくるホストの聖川琉華
(21)
琉華「さっき、紘とセブンと会ったけど二人でどこ行くんだ?デート
か?」
なつき「ち、違うよ!紘君はサークルの集まりでセブンは講習会」
宗介「あの、セブンって…」
千秋「七緒のニックネーム(笑う)」
宗介を見る琉華。
琉華「誰だ、こいつ」
千秋「あぁ紹介するね。今日からここで住む事になった櫻庭宗介君」
宗介「ど、どうも…」
琉華「千秋…また新しい奴入れたのかよ。やっと一人出ていったかと
思ったのに」
千秋「琉華。俺はここの家主だよ?俺が許可出したんだからいいの」
琉華「チッ…(宗介を見て)俺、聖川琉華。ホストやってる」
宗介「ホ、ホスト…」
琉華「俺、取り合えず寝る」
宗介をじっと見ながらリビングを出ていく琉華。
宗介M「何か、感じ悪いなあ…」
千秋「宗ちゃん、ごめんね。琉華、口は悪いんだけど根はいい奴だか
ら許してあげて」
宗介「ん、うん…」
〇同・二階・宗介の部屋・中
ドアを開け千秋と宗介が入ってくる。
千秋「さっき宗ちゃんが寝てた所だけど、ここが使ってもらう部屋」
宗介「おぅ。家具とかベッドとかこのまま使っていいのか?」
千秋「うん、いいよ。宗ちゃんが他に何か必要な物があれば個人で揃
えてもらうって事で」
宗介「おう」
千秋「後、家賃なんだけど毎月七万を月末に俺に渡してくれたらいい
から。食費光熱費込みだから割と安いと方だと思うよ」
宗介「七万…今の俺にとっては高額だなあ…」
千秋「あっ仕事決まってからでもいいよ。取り合えず今月はお試し期
間って事で無料にしといてあげる。俺が強制的に連れてきたっての
もあるし…だからそれまでに何か仕事見つけてくれたら」
宗介「いいのか?それで」
千秋「俺がいいって言ってるからいいの。それにやっぱり嫌だって宗
ちゃんも思うかもしれないし、その時は無理に止める訳にもいかな
いからさ」
宗介「…」
〇同・一階・リビング
千秋と宗介。
千秋「掃除だけど部屋は各自でやる事。後洗濯もね。リビングとかキ
ッチンは俺がやるけど、トイレと風呂掃除は交替でやってもらうか
ら。お願いします」
宗介「はい」
千秋「あと、これ」
壁に掛けてるホワイトボードを見る宗介。
千秋「伝言板用に使ってるから何か必要な時にでも書いて。まぁ説明
はこれくらいだけど何か質問は?」
宗介「だ、大丈夫」
千秋「じゃあ、そういう事でよろしくお願いします」
頭を下げる千秋。
宗介「よろしくお願いします」
宗介も頭を下げる。
千秋「じゃあ俺これから、店にちょっと顔出してくる。夕方には帰っ
てくるから。それまで部屋でゆっくりしてたら?色々あって疲れた
と思うから」
〇同・二階・宗介の部屋・中(夕)
ベッドで寝ていた宗介が目を覚ます。
宗介「あっ、俺…寝てたのか?」
起き上がり窓際に立つ宗介。
宗介「もぅ、夕方か…熟睡してたんだな…」
〇同・一階・リビング(夕)
宗介が来る。
琉華が仕事の準備をしている。
宗介「あっ…」
琉華「おぅ」
宗介「これから仕事ですか?」
琉華「あぁ。客と飯食ってから同伴だ。そういや宗介は何の仕事して
るんだ?」
宗介「いや、今は無職で…」
琉華「え?ニートかよ…」
宗介M「悪かったなニートで!」
琉華「そうそう。宗介に聞きたい事がある」
宗介「聞きたい事?何?」
琉華「なぁ、宗介って」
琉華が宗介に近づいて、ソファーに押し倒されそうになる。
琉華「どっちなん?」
宗介「どっち?え?何が?」
琉華「何がって。とぼけんなよ(笑う)タチなのか、ウケなのか?」
宗介「は?」
琉華「あ?」
宗介「さっきから琉華、何を言ってるんだ?」
琉華「え…もしかして…」
宗介「ん?」
琉華「ノンケなのか?」
何を言ってるのか分からず首を傾げる宗介。
続。
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