鳴かないホトトギスの対処法 コメディ

某所で句会が開かれた。 お題は「鳴かずのホトトギス」。 参加者である織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、金子みすゞの四人は、お題に従ってそれぞれの俳句を発表していく。
市川家の乱 10 0 0 11/04
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第一稿

人物

織田信長
豊臣秀吉
徳川家康
金子みすゞ



○原っぱ
  本陣が設営されている。

○本陣の中
  陣幕に囲まれた空間に卓子が一つ。
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「鳴かないホトトギスの対処法」(PDFファイル:95.79 KB)
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人物

織田信長
豊臣秀吉
徳川家康
金子みすゞ



○原っぱ
  本陣が設営されている。

○本陣の中
  陣幕に囲まれた空間に卓子が一つ。
  鎧甲を身につけた織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、そして着物姿の金子みすゞの四人が向かい合って座っている。
  画面に以下のテロップが表示される。
  「お題 鳴かずのホトトギス」
  織田、三人の顔を見回し、
織田「皆のもの、書き終えたな」
  三人、頷く。
織田「では早速発表と参るが、順番はいかがしよう」
豊臣「家康殿。いかがしましょうか」
徳川「(にこにこと)信長殿、秀吉殿、拙者、女、の順でよろしいかと」
織田「うむ」
  織田、手元を見下ろし、
織田「おや? 我の短冊がない」
豊臣「私が持っております」
  豊臣、懐から短冊を出す。
豊臣「信長様。暖めておきました」
織田「(にやり)猿め。いつの間に」
  織田、短冊を受け取り、立つ。
織田「(堂々たる声で詠む)鳴かぬなら殺してしまえホトトギス」
  金子、露骨に顔をしかめる。
豊臣「うまい!」
  豊臣、拍手する。
豊臣「さすが信長様。信長様の合理的なお考えをよく表われておられます。なあ家康殿」
徳川「(にこりと)同感にござります」
  織田、誇らしげに座る。
豊臣「次は私の番ですな」
  豊臣、短冊を手にして立つ。
豊臣「鳴かぬなら鳴かせてみようホトトギス」
  金子、無表情。
織田「(呆れる)いかにも猿らしい句だな」
  徳川、笑顔で頷く。
  豊臣、座る。
豊臣「さ。家康殿の番ですぞ」
  徳川、短冊を手にして立つ。
徳川「鳴かぬなら鳴くまで待とうホトトギス」
  金子、無表情。
豊臣「うまい!」
  豊臣、拍手する。
豊臣「いやあ。家康殿の辛抱強さが表れている見事な句ですな」
徳川「(満更ではない)」
  徳川、座る。
織田「女、読め」
  金子、短冊を手にして立つ。
金子「鳴かぬけどみんなちがってみんないい」
  織田、豊臣、徳川、絶句する。
織田「(声を震わせ)…女、なんと申した?」
豊臣「も、もう一度読んで差し上げろ」
金子「鳴かぬけどみんなちがってみんないい」
織田「認めん!」
  織田、金子に詰め寄る。
織田「ちがっていいはずがない!」
豊臣「そ、そうじゃ。第一ホトトギスの季語を使ってないではないか!」
  織田、刀を抜き、
織田「斬る!」
  豊臣、慌てて織田をとめる。
  その傍らで、家康、金子の短冊を見て青ざめている。
ナレーション「この時、金子の才能に恐れをなした家康は脱糞していた」

○家康の肖像画
ナレーション「その後、戒めのために書かせたのがこの「しかみ像」であることは周知の通りである」

(おわり)

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