◆登場人物
少年１／死刑囚……同一人物
少年２
少年３
少女
看守

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少女　鬼ごっこする人この指とまれ、はーやくしないと切れちゃうよ、まだまだ切れないまだ切れない、まだまだ切れないまだ切れない、ローソク一本きーれた。
少年１　俺、鬼やる！
少年２　だめだよ！　たっちゃん、さっきだって！
少年１　なにお前、文句しか言わねえじゃん。
少女　喧嘩しないの！
少年２　喧嘩じゃねえし！　俺は、たっちゃんがさぁ！
少年１　喧嘩じゃねえよ。俺は鬼がやりたいの。
少年２　たっちゃんいつも鬼じゃん。
少年３　まあ、いいんじゃね。やらせとけば。
少年１　なんだよその言い方。
少女　あーもう分かった分かったじゃんけんしよ！
少年２　えー。なんで。
少年１　文句言うな！
少年３　いいから、早くやろうぜ、せーの。
全員　最初はぐー！　じゃんけん、ぽん！
少年１　しゃー！　俺の負け！！　俺鬼だよね？　ね？

他の者、口々に文句を言いながら少年から離れる

少年１　十九八七六五四三二一零！！　……え？　みんな？

無数の不吉なささやき声が増幅し、唐突に途切れる。

看守　四十八番、起きろ。
死刑囚　え？　みんなは？
看守　みんな？　夢でも見てたのか？
死刑囚　夢？　じゃあ、みんなは？
看守　いつまで寝ぼけてんだよ。もう時間だ。
死刑囚　お、俺の番が来たのか？
看守　物分かりがいいじゃねえか。もう、牧師さんも待機してるからさ。
死刑囚　やだ……。
看守　は？
死刑囚　やだ、助けてくれよ、俺はまだ死にたくない。
看守　三人も殺しておいてよくそんなことが言えるな。

鍵の開く音。
がさがさという物音。

死刑囚　いやだ、いやだ、俺の体に触るな！　触るなって！　いやだ、なんでいつも俺が鬼なんだ！

無数の不吉なささやき声が増幅し、唐突に途切れる。

少女　鬼ごっこする人この指とまれ、はーやくしないと切れちゃうよ、まだまだ切れないまだ切れない、まだまだ切れないまだ切れない、ローソク一本きーれた。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　〈了〉