LOAN REPAYMENT METHOD 〜高級車ローンの返し方〜 ドラマ

商売上手の会社員、板橋は昔から憧れていた高級車、フェラーリを購入したが、高額ローンに苦しんでいた。そこで、板橋はフェラーリのレンタル業を開始する。そのレンタル代は2時間5万円。しかし客は途絶えることがなかった。
水野モト 3 1 0 09/03
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第一稿

登場人物
板橋 蛍(34)会社員
男1
女1
男2


〇車の中(夜)
   男1、右手でハンドルをもち、体を背もたれに預けている。女1、背筋を良くして足に手を   ...続きを読む
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登場人物
板橋 蛍(34)会社員
男1
女1
男2


〇車の中(夜)
   男1、右手でハンドルをもち、体を背もたれに預けている。女1、背筋を良くして足に手を  
   重ねて置き、助手席に座っている。
   女1、笑みを浮かべて男1の方に向き、
女1「ねぇ、どこにするの?」
   男1、左斜め前のある建物を示す様に首を振って、
男1「あそこだよ。立派な駐車場がついているんだ」

〇駐車場
   駐車場に赤いフェラーリが入ってくる。
   そのまま少し速めのスピードで駐車位置に入り、急停車して雑に駐車する。駐車線を少しは 
   み出しているが、車はライトを消し、男1が出てくる。
   男1、助手席側に回ってドアを開け、女1の手を握って車から出るのをサポートする。
   女1、車から出て、すぐに男1の手に抱きつく。男1、歩きづらそうにゆっくりと光のとも 
   る建物の方に歩く。
   その光景を板橋蛍(34)、フェラーリの少し後ろで見ている。二人が建物に入って視界から 
   消えると、フェラーリのドアを開けて、乗り込む。すぐにエンジンの音がして車が動き出す。

〇デパート前(夜)
   デパートの位置口前に、男2がポケットに手を入れ、落ち着かない様子で辺りを見回してい
   る。
   デパート前の道路に、赤いフェラーリが止まる。
   男2、そのフェラーリを見ている。また車の中から板橋も男2をガラス越しにじっと見てい
   る。
   男2、気まずそうに視線をそらすが、板橋、車から降り歩いて男2に近づく。
   板橋、笑みを浮かべて男2の前に立つ。
   男2、不安そうに、
男2「す、すいません」
板橋「いや、そういうのじゃないよ。お兄さん、お名前聞かせてもらっても?」 
   男2、走って逃げようとするが、板橋に腕を掴まれバランスを崩し膝をつく。
板橋「待って待って。なにかしようってんじゃないんだ。とりあえず話聞いてよ。はい立って」
   男2、板橋に支えられながら立ち上がり、板橋の顔を少し見たあと、不機嫌そうに、小さな  
   声で
男2「……絵美さんですか?」
   板橋、声を上げて笑い、板橋を支えている右手と逆の左手を大きく振って、
板橋「ハハ、違う違う。釣りじゃないよ。多分このあと来るのは女の子だよ」
   男2、板橋の手を振りほどき、
男2「じゃあ、何ですか」
板橋「俺のフェラーリちゃん、2時間5万円で貸し出してるんだ。どう?」
男2「はぁ? いらないですよ。フェラーリなんて」
板橋「本当? お兄さんこういうこと何回目なの?」
   男2、不機嫌そうに黙っている。
板橋「経験あるなら知っているでしょ? 女の子はさあ、お金を見ているのよ。だから金持ちっぽ 
 い人には丁寧に接客。逆にお兄さんみたいなのは……まあ、女の子の性格によりけりかな」
男2「だから、何だっていうんですか」
板橋「金持ちかどうかってのは、その人の持っているアクセサリーで判別するんでしょ。だから金持
 ちに見せるためにこのフェラーリを貸してあげるって言ってるんだよ」
   男2、板橋を見ないように体を横にする。
男2「それならレンタル屋で借りた方が安上がりだ。いらないよ」
板橋「それ、”わ”ナンバーでしょ? ばれちゃうよ。それにさあ。やりようによってはこの車借りた方が安上がりだよ」
   男2、ちらりと腕時計を見る。その先に女の子がいる。
男2「もういいよ。俺は借りない。どっか行ってくれ」
   男2、慌てた様子で板橋をフェラーリの方に押す。
   板橋、声を張り上げるように、
板橋「聞きなよ。もしホテルに連れ込んだらさ、やることやった後「車に財布を忘れた、先に俺の 
 車に向かっててくれ」って言えば良いのよ。んでお兄さんは別の出口から逃げる。おっと」
   板橋、男2に押されてフェラーリのドアにぶつかる。
男2「そんな上手くいくわけないだろ」
   板橋、大げさに手を降って、
板橋「いやいや、車置いて逃げるとは思わないから、女の子は素直に騙されてくれるよ」
   板橋、両手をパーにして突き出し、話している途中で左手を握りしめ、パーの左手を男2に 
   さらに突き出す。
板橋「ホテル連れ込んだらさ、普通10万近くはいくでしょ? それが5万になる。安上がりだ」
   男2、黙って見つめている。
板橋「食事だけでも楽しいぜ。女の子はそりゃあ甲斐甲斐しく尽くしてくれる。俺のフェラーリ、
 かっこいいからな。事実、意外とリピーターがいる」
男2「でも5万円は高すぎる。割に合わない」
   板橋、ニヤリと笑って、親指だけを曲げた右手を突き出す。
板橋「分かった。今日はお試しだ。まけるよ。2時間4万」
  男2、しぶしぶといった様子で、
男2「……2万円」
   板橋、右手は指を三本たて、左手はパーにして突き出す。
板橋「おいおい半額以下じゃないか、3万5千円、これでどうだ?」
男2「2万5千円」
   板橋、右手は指3本立てたまま、パーにしていた左手をおろし、
板橋「分かった。間を取って3万円だ。これ以上は下げられない」
男2「……分かったよ」
   男2、財布を取り出す。
   板橋ポケットから車の鍵を取り出し、
板橋「オーケー。これ、車の鍵だ。返却するときは運転座席の下にでも置いてくれ。車は2時間
 後、ホテルの駐車場に停める。ホテルの場所はカーナビに登録してある。女の子をホテルに連れ
 込めなかったとしてもそのホテルにだ。延長料金は最初の30分で1万、次の30分からは2万
 だ。もし車の中での行為は禁止。したら罰金30万、質問は?」
男2「……ない」
   板橋、鍵を男2に渡す。
板橋「はい、鍵が本物か確認して
   男2.フェラーリのドアを開け閉めする。
板橋「じゃ3万」
   男2、板橋に3万円を力強く渡す。
板橋「フェラーリここにおいて、フェラーリの前で女の子待つ? それともどっかの駐車場に置い
 てこようか? そのくらいはサービスするよ?」
男2「……ここに置いて行ってくれ」
板橋「じゃあ2時間後、よろしく」 
   板橋、男2から去っていく。しかしすぐに振り向いて、
板橋「あ、その時計は外した方がいいよ。貧乏くさい」
   男2、黙って時計を外してポケットに入れる。
   板橋、もらった3万円を親指でペラペラとなぞりながら去っていく。

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