Dr.LOSER(20枚ver.) ドラマ

若き敏腕歯科医・勝呂進一(28)はある日、虫歯を根絶する薬の開発に成功する。しかしその結果、彼は「Dr.LOSER(=敗北者)」と呼ばれるようになってしまう……。
マヤマ 山本 11 0 0 06/08
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第一稿

<登場人物>
勝呂 進一(28)歯科医
足利 美南(28)歯科助手
正木 喬矢(28)(40)厚生労働省職員
伝田 蛍(23)同
M・C・ディアス(47)製薬会社代表
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<登場人物>
勝呂 進一(28)歯科医
足利 美南(28)歯科助手
正木 喬矢(28)(40)厚生労働省職員
伝田 蛍(23)同
M・C・ディアス(47)製薬会社代表

医師A、B
キャスター    声のみ



<本編>
○メインタイトル『Dr.LOSER』

○デンタルクリニック・外観
   まるで大学病院かのような外観。

○同・廊下
   まるで大学病院のような廊下を歩く勝呂進一(28)。まるで手術をする外科医のような服装。
ディアスN「(英語で)彼の名前は勝呂進一。優秀な医者だ」
   尚、以降もナレーションは英語であり、テロップで日本語の字幕が流れる。

○同・処置室
   上の階分まで吹き抜けになっている等まるで大学病院の手術室のような室内。
   まるで外科の手術をしているかのような雰囲気で、診療台に横たわる患者の歯の治療をする勝呂と足利美南(28)。美南もやはり、まるで外科の手術の助手のような服装。また、この時点では勝呂の行為が「虫歯の治療」という事はまだわからない。
勝呂「コントラ」
美南「はい」
勝呂「バキューム」
美南「はい」
ディアスN「人々は彼の手腕を『ゴッドハンド』ともてはやした」
   上の階部分に窓があり、その向こう側に多くの人が居る。
   どよめきの声。

○同・見学室
   窓から見下ろすような形で、多くの医師や、スーツ姿の正木喬矢(28)らが勝呂らの処置を見学している。
医師A「何という手際……」
医師B「噂には聞いていたが、まさかこれほどとは……」
正木「(医師達の反応を見て満足気に)さっすがだね~」
   正木の視線の先には、勝呂らの処置の様子を映すモニター。ここで初めて勝呂らの手元が映り、虫歯の治療を行っている事がわかる。
ディアスN「彼に治せない虫歯は無い」

○同・処置室
   診療台に横たわる患者の両脇に立つ勝呂と美南。
勝呂「じゃあ、あとTBIよろしく」
美南「お疲れ様でした」
   後ろ手に手を振りながら、処置室を出ていく勝呂。
ディアスN「しかし、彼は気づいていた」

○同・待合室
   手術室の入口のような自動ドアが開き、やってくる勝呂。目の前には虫歯の治療を待つ、席が足りないほど多数の患者。皆、頬を押さえて辛そう。
勝呂「……」
ディアスN「このままでは、根本的な解決には至らない、と」
正木の声「虫歯菌の根絶?」

○同・外観(夜)
正木の声「そんな事、出来るのかね?」

○同・研究室(夜)
   まるで大学の研究施設のような機器類が揃った室内。
   様々な薬品を調合する勝呂と、その作業を見守る正木。その奥では作業をする美南の姿。
正木「ミュータンス菌、いわゆる虫歯菌は、唾液を介して人から人へ感染する、いわば感染症の一種」
勝呂「それくらい知っている」
正木「じゃあ、お前は『風邪ウイルスを撲滅する』なんて、出来ると思う? 言ってる事、それと同じだよね?」
勝呂「かもな。だがミュータンス菌が熱湯消毒できる事はわかっている。人体に負担をかけず、口内で同じような状況を作る事が出来れば、理論上は可能だろ?」
正木「はいはい、ご立派な理想です事。で、勝呂先生? 何で俺を呼んだ? 国から補助金貰おうと思ってんなら、頼む相手を間違えてるね」
勝呂「勘違いするな。そんな事、下っ端の役人に頼みはしないさ」
正木「『今のところは』が抜けてるね」
勝呂「……ちなみに、本当に無理? 少しくらい出ない?」
正木「さっさと本題入れ」
勝呂「共同研究してくれる、いい製薬会社知らない? 俺はツテないけど、厚生労働省の幹部候補である正木先生なら、と思ってね」
正木「まぁ、そんな事だろうと思ってた。アメリカのディアス社って所が、ソッチの部門に強いハズ。連絡してみるね」
勝呂「さすが」
正木「問題はお前の研究成果が出るのがいつになるか……。せめて、俺が事務次官になるまでには間に合わせてよね」
勝呂「じゃあ、そのためにも予算を……」
正木「ほざけ」
美南「あの、先生……」
   数本の試験官を持ってやってくる美南。
勝呂「足利君、効果はどうだった?」
美南「はい。効果、ありです」
勝呂「そうか。じゃあ次は……」
勝呂&正木「って、効果あったの!?」
美南「……はい」
   顔を見合わせる勝呂と正木。

○記者会見場
   世界各国の記者の前で握手を交わす勝呂とM・C・ディアス(47)。
ディアスN「彼は完成させた。奇跡の新薬を」

○新聞記事
   「日本政府、新薬を承認」「虫歯のない世界、来る」「勝呂氏 ノーベル生理学・医学賞受賞確実か」などの見出しが躍る。
ディアスN「世界は、彼にありとあらゆる賞賛の声を浴びせた」

○デンタルクリニック・処置室
   患者に注射を打つ勝呂。
ディアスN「彼のもたらした研究成果は、瞬く間に世界中へと拡散され」

○商店街
   笑顔で歩く親子連れの姿。
ディアスN「人々に笑顔をもたらした」

○デンタルクリニック・外観
ディアスN「しかしそれは同時に」

○同・待合室
   誰もいない。
ディアスN「彼ら、歯科医師達が仕事を失う事も意味していた」

○同・処置室
   酒を飲む勝呂を止めに入る美南。
美南「先生、診療時間中にお酒は……」
勝呂「どうせ誰も来やしねぇよ」
美南「ですが、もし誰かが来た時に、その状態じゃ診察が……」
勝呂「うるせぇ。俺に指図すんじゃねぇ!」
   勝呂に突き飛ばされる美南、作業台にぶつかり、医療器具が床に散乱する。
美南「きゃあ!」
ディアスN「もちろん、彼自身も……」

○同・外観
   廃墟と化している。
ディアスN「そして彼はすべてを失い、姿を消した」

○商店街
   遠ざかる勝呂の背中。
ディアスN「そんな彼を、人々はこう呼んだ」

○走る車
ディアスN「Dr.LOSER」

○車内
   運転する伝田蛍(23)と後部座席に座る正木(40)。
蛍「Dr.LOSER……『敗北者』ですか。皮肉なものですね」
正木「そう? 所詮、医者なんて患者が居なきゃ成り立たない仕事ってだけの話。やっぱ、なるなら医者より公務員だよね」
蛍「でも、公務員は無力です」
   車内のモニターに目をやる蛍。「新型ミュータンスウイルス感染拡大」とテロップを出すニュース番組が映されている。
キャスターの声「新型ミュータンスウイルス感染拡大より、各地で混乱が起きています」
   映像は薬局で歯ブラシや歯磨き粉に人が殺到する様子に切り替わる。
キャスターの声「ドラッグストアでは、歯ブラシや歯磨き粉を求めて人が殺到し……」
   モニターの映像が地図に切り替わる。
蛍「全国各地の歯科医師が既に廃業している現在、病床はひっ迫し、医療崩壊は目前。事態は深刻です」
正木「だから、迎えに行くんだろう? Dr.LOSERをね」
蛍「……ですね」

○走る車

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