『腕狩り朱雀』第四話『右腕』 アクション

単身、アジトへ乗り込んだ服部朱雀(17)は、許嫁・巽蒼龍(22)との再会を果たす。さらに後を追って合流した三瓶玄武(26)とトラスト白虎(30)が蒼龍とともに敵を食い止める間に、朱雀はついに因縁の男・坤赤龍(41)と対面する。
マヤマ 山本 3 1 0 05/25
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第一稿

<登場人物>
服部 朱雀(17)剣士
巽 蒼龍(22)同、朱雀の許嫁
三瓶 玄武(26)同
トラスト 白虎(30)同、白虎隊隊長
服部 雲雀(9)朱雀の妹

巽 青龍 ...続きを読む
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<登場人物>
服部 朱雀(17)剣士
巽 蒼龍(22)同、朱雀の許嫁
三瓶 玄武(26)同
トラスト 白虎(30)同、白虎隊隊長
服部 雲雀(9)朱雀の妹

巽 青龍(22)剣士、蒼龍の双子の弟
艮 黒龍(55)同、腕売り
乾 白龍(28)同、トラストの部下
坤 赤龍(41)同
服部 鳳凰(39)同、朱雀の父、故人



<本編>
○(回想)服部邸・外観
   五年前。
服部の声「いいか、朱雀」

○(回想)同・庭
   服部鳳凰(37)に紹介され、服部朱雀(12)の前に立つ巽蒼龍(17)と巽青龍(17)。
服部「今日から父さんの弟子になった巽蒼龍君と巽青龍君。双子の兄弟だそうだ。歳の差はやや遠いが、仲良くするんだぞ?」
朱雀「服部朱雀です」
青龍「巽青龍だ」
蒼龍「(朱雀に見とれて)……」
青龍「(蒼龍を小突き)おい、兄貴」
蒼龍「え? あぁ、自己紹介か」
青龍「初日なのに、気合が足んねぇんだよ、気合が」
蒼龍「巽蒼龍です、よろしく」

○屋敷・庭
   対峙する朱雀(17)、蒼龍(22)と青龍(22)。
蒼龍「久しぶりだな、許嫁。弟もな」
青龍「三年ぶりか?」
朱雀「君が父上を裏切って以来、という事か」
青龍「俺は元々コッチ側だ。俺達を裏切って師匠に付いたのは、兄貴の方だろ」
蒼龍「で、どうすんだ、弟? まさか兄弟で斬り合いするつもりじゃあるまい」
青龍「この期に及んで『兄弟』を持ち出すなんて、気合が足りねぇんだよ、気合が」

○メインタイトル『腕狩り朱雀』
   T「第四話 右腕」

○町C・市場
   白虎隊の面々と戦う三瓶玄武(25)、トラスト白虎(30)。二人の後ろに隠れる服部雲雀(9)。三瓶は義腕を付けて三本腕の状態で薙刀を振るう。
トラスト「タイガー会心の一撃!」
三瓶「玄点怪奇の一撃!」
   最後に残っていた白虎隊の義腕を斬り落とし倒す三瓶とトラスト。周囲には気を失って倒れた白虎隊の面々。
三瓶「ふんぬっ!」
   自らの義腕を力づくで引き抜き、他の斬られた義腕の山に放り投げる三瓶。
トラスト「ヘイ、ミスター三瓶。平気かい?」
三瓶「少しヤバそうな感じはしたが、まぁ、この俺の意地だ」
トラスト「恐れ入ったよ」
雲雀「こちらの方々、どうしましょう?」
トラスト「先ほど本部には連絡した。間もなく来る応援部隊に、この場の後始末は一任していいだろう」
三瓶「朱雀を追うのか?」
トラスト「オフコース。君はどうするんだい、ミスター三瓶」
三瓶「決まってんだろ?」
   ニヤリと笑う三瓶。
雲雀「行きましょう」
   駆け出す三瓶、トラスト、雲雀。

○屋敷・庭
   対峙する朱雀、蒼龍と青龍。
蒼龍「許嫁。ボスは中に居るハズだ」
朱雀「ボス……坤赤龍か?」
蒼龍「あぁ。師匠の仇、とるんだろ? 弟の相手は俺が引き受ける。だから……」
朱雀「上等だ。だが、その前に一つ聞いてもいいか?」
蒼龍「仕方ないな。愛してるぜ」
朱雀「そういう事じゃない」
蒼龍「あ、違うの?」
朱雀「さっきの戦い、腕で刀を受け止めていただろう?」
蒼龍「あぁ、それか。ほれ」
   右腕の袖をめくる蒼龍。機械式の義腕が付いている。
朱雀「!?」
蒼龍「いいだろ。最新兵器だ」
朱雀「それは白虎隊の……?」
蒼龍「さすが、許嫁。耳が早いな」
朱雀「そいつは危険だ。早く外せ」
蒼龍「危険? 何が……!?」
   蒼龍の義腕に電撃が走る。警戒し刀を構える朱雀。しかし蒼龍に変化はない。
蒼龍「またか。これ、不良品か?」
朱雀「平気なのか?」
白龍の声「それは妙ですね」
   そこにやってくる艮黒龍(55)と乾白龍(28)。白龍の手にはタブレット端末。
白龍「反応はしているようですが、何故操られていただけないのでしょうか?」
青龍「そんなもん、気合だろ?」
蒼龍「いいや、愛だ」
艮「そんな事よりもじゃな、乾殿。裏切り者が何でこんな所に居るのかを聞くのが先じゃないかの?」
蒼龍「よろしいでおますよ、爺や。ちゃんとケジメで腕差し出しましたでおますよ?」
艮「お前さんも、敬語は下手じゃな」
蒼龍「なぁ、許嫁。朗報だ。この二人が外に出てきたって事は、今屋敷の中にはボス一人だ。行ってこい」
朱雀「一人で三人を相手にするつもりか? さすがに無理だ」
蒼龍「愛の力は無限大だ」
朱雀「そんなもので何とかなる相手じゃない」
トラストの声「なら、コレでどうだい?」
   振り返る朱雀と蒼龍。そこにやってくる三瓶、トラスト、雲雀。
雲雀「姉上!」
朱雀「雲雀、玄武、白虎」
蒼龍「おう、義妹か。デカくなったな」
三瓶「なっ……巽青龍が二人……?」
トラスト「ヘイ、ミスター三瓶。ミスター巽は双子のブラザーなんだよ」
三瓶「つまり(蒼龍を指し)こっちが朱雀の許嫁か」
蒼龍「(三瓶とトラストを見て)誰か知らねぇが、義妹と一緒って事は、許嫁の味方か」
三瓶「質問の無い奴だな。気持ちがいい」
トラスト「ヘイ、ミス雲雀。君は安全な場所に隠れていた方がいい」
雲雀「わかりました」
   物陰に隠れる雲雀。
蒼龍「さて、と。これだけ揃ったんだ。今度こそ行け、許嫁」
   青龍に斬りかかる蒼龍。
蒼龍「弟の相手は、俺が引き受ける!」
青龍「その気合、いつまでもつかな?」
朱雀「蒼龍……」
蒼龍「愛してるぜ」
   頷き、駆け出す朱雀。それを見て朱雀に斬りかかろうとする白龍に割って入るトラスト。
トラスト「ヘイ、ミス白龍。させないよ」
白龍「隊長……」
朱雀「白虎……」
トラスト「部下の指導は、リーダーである僕に一任して、君は行きたまえ、ミス朱雀」
   頷き、駆けていく朱雀を背後から弓で狙う艮。そこに斬りかかる三瓶。
艮「なっ」
三瓶「消去法とは恐いもんだな。貴様の相手は、この俺らしいぞ?」
朱雀「玄武……上等だ。皆、頼んだ」
   屋敷の中に入っていく朱雀。戦う蒼龍と青龍、トラストと白龍、三瓶と艮。

○同・中
   入ってくる朱雀に気付き振り返る坤赤龍(41)。赤い目が光る。
坤「来たか」
朱雀「あぁ。三年ぶりだな」
坤「そんなに経つか。(眼帯部分をさすり)煩わしい記憶だ」
朱雀「これは父上の仇、そして……」
   刀を抜く朱雀と坤(坤は二刀流)。
朱雀「僕自身の復讐だ」
   斬りかかる朱雀に応戦する坤。押している朱雀。
坤「腕を上げたな。鳳凰の娘」
朱雀「服部朱雀だ。あの時だって、不意を突かれて不覚を取っただけだ」
坤「俺とて、両目が使えればお前など相手ではない」
朱雀「今の僕が一本腕という事も忘れるな。僕の腕と父上の腕、誰に売った?」
坤「煩わしい質問だ。売るのは黒龍の役目。俺は狩るだけだ。だが……」
   朱雀と距離を取る坤。奥にある木箱を開け、中から服部の右腕を取り出す。
朱雀「その腕は……!?」
坤「お前の大好きなパパの腕だ。煩わしいとは思ったが、取っておくものだな」
   服部の右腕を取り付け、三本腕(かつ三刀流)となる坤。
坤「さぁ、続けようか」
   斬り合う朱雀と坤。さすがに手数の多さで劣勢の朱雀。
朱雀「くっ……」

○同・庭
   刀で斬り合う蒼龍と青龍。青龍が優勢。
蒼龍「あいかわらず、何のために戦ってるのかわからねぇ奴だな、弟よ」
青龍「わからねぇ事はねぇだろう、兄貴? 俺達の目的、忘れたか?」
蒼龍「もちろん覚えてるさ。優れた人間にこそ腕を供給し、人類をより高みへ導く手助けをする」
青龍「腕なんてものは、気合の足りねぇ人間が持ってたって、腐らせるだけだ」
蒼龍「けど、俺が言いたいのは、それが俺にとって戦う理由になりえねぇ、って事だ。お前らの考え方は、人類への愛が足りねぇんだよ、愛が」
    ×     ×     ×
   かぎ爪で斬りつけるトラストに槍で応戦する白龍。白龍が優勢。
トラスト「ヘイ、ミス白龍。君らのやり方では、人間同士の格差が広がる一方になると思わないかい?」
白龍「隊長は、人類の平均化を目指すおつもりですか?」
トラスト「僕が求めているのは、平和だ」
白龍「では、もし全ての学校が、最も学力の低い生徒に授業レベルを設定したら、どうなります? 平和と引き換えに、争い以上の損害が、人間界に降り注ぎます」
トラスト「では、腕を奪われた一本腕はどうなる? 彼らの世話を、一任できる当てでもあるのかい?」
    ×     ×     ×
   艮の弓矢の攻撃を刀で防ぐ三瓶。
艮「お前さん。不要なものは、捨てる勇気も必要だよ?」
三瓶「(背負った薙刀を指し)コイツの事か?」
艮「ソイツに気を取られて身動き取れなくなるんじゃ、本末転倒じゃろう?」
三瓶「かもしれねぇな、だが……」
   刀を捨て、薙刀を手に取る三瓶。わずかに持ち上がる薙刀。
三瓶「ぬおおおお!」
艮「まさか……二本腕でソイツを持ち上げようって言うのかい?」
三瓶「その『まさか』だ」
   薙刀を振り下ろす三瓶。慌てて避ける艮。それを見てニヤリと笑う三瓶。
三瓶「いいぞ。もっと、この俺を恐がれ」

○同・中
   戦う朱雀と坤。優勢な朱雀。
朱雀「腕が二本だろうと三本だろうと、慣れてしまえば変わらないな」
坤「くっ……煩わしい」
朱雀「服部流奥義、上等朱段の一撃!」
   坤の三本目の腕を斬り落とす朱雀。
坤「ぐああ!?」
   地に落ちた腕を拾い上げる朱雀。
朱雀「(腕を抱きしめ)父上……」
坤「(笑って)くっくっく……」
   振り返る朱雀。立ち上がる坤。
坤「つくづく、煩わしい一族だな、お前達は」
朱雀「まだ立つか……上等だ」
坤「しかし、一本腕でこの実力か。やはりあの時点でお前の腕を狩っておいたのは正解だったようだな」
朱雀「どういう意味だ?」
   部屋の奥に向けて歩き出す坤。
坤「どうやら、勘違いしているようだな。三年前のあの日の、俺の目的を」
朱雀「君らの計画に邪魔だった、父上の命を奪うためだろう?」
坤「いいや。もちろん、煩わしい存在だったのは間違いない。その為にスパイを二人ほど送り込んだんだからな」
朱雀「蒼龍と青龍の事か」
坤「だがその結果、近々で消さねばならないほどの脅威ではないと判断した」
朱雀「だったら、何故?」
   ニヤリと笑う坤。
服部の声「まさかとは思うが、娘が狙いか?」

○(回想)服部邸・中(夜)
   三年前。
   互いに刀を抜き対峙する坤と服部。この時点では坤の両目は無事。
服部「当たらずも遠からず、か」
坤「その察しの良さ、やはりお前の娘の腕には特別な価値がありそうだな」
服部「させるか」
坤「煩わしい男だ」
   戦い始める坤と服部。刀と刀がぶつかり合う。優勢な服部。
服部「お前の力、私には遠く及ばないな。くらえ、因果凰鳳(いんがおうほう)の一撃……」
朱雀の声「父上……?」
   驚き、振り返る服部。かすかに近づく足音。
朱雀の声「どなたかいらしてるんですか?」
服部「朱雀、来るな。早く遠くへ……」
   その隙に服部の右腕を斬り落とす坤。同時に服部の口を塞ぐ。
服部「(声にならない呻き声)」
坤「こうなってしまっては、どうする事もできまい?」
   坤を睨む服部。近づく足音。右腕とともに落ちた刀を左手で拾い、坤の右目を斬りつける服部。
坤「ぐおっ!?」
服部「(荒い息で)お前のような、剣士とは程遠い男など、左腕一本で十分だ」
   坤に斬りかかる服部。
坤「……煩わしい奴め。死ね!」
   服部の剣撃をかわし、服部の心臓を刀で突き刺す坤。
服部「がっ……」
   絶命し、倒れる服部。それを見下ろす坤。足音で距離を察し、物陰に隠れる。
   そこにやってくる朱雀。
朱雀「父上、何かありましたか……」
   服部の遺体を見て目を見開く朱雀。
朱雀「父上!?」
   服部に駆け寄る朱雀。
朱雀「父上、一体何が……」
   朱雀の背後に姿を見せる坤。刀を振り下ろし、朱雀の右腕を狩る坤。

○屋敷・中
   服部の右腕を抱きしめ呆然とする朱雀と、部屋の奥でまた別の箱に手を伸ばす坤。
朱雀「父上が殺されたのは、僕のせい……? そんな……」
坤「くっくっく」
   また別の箱に手を伸ばす坤。二本の義腕(右腕用と左腕用)を取り出し、取り付け四本腕(四刀流)となる坤。
坤「さぁ、父親を死なせた罪を背負って……」
   朱雀に斬りかかる坤。
坤「死ね!」
朱雀「(ここで初めて四本腕に気付き)!?」
   坤の剣撃をかわす朱雀。
朱雀「そうか、僕の罪か」
   服部の右腕をより強く抱きしめる朱雀。
朱雀「上等だ。だとしたら、その償い方は、父上の遺志を継ぐ事だ」

○同・庭
   戦うトラストと白龍。
トラスト「ヘイ、ミス白龍。おとなしく、罪を償ってはくれないか?」
白龍「それは、私だけが、ですか?」
トラスト「もちろん、君に一任し、君に権限の一部を譲渡した結果、混乱を引き起こしたんだ。僕にもリーダーとして、責任者として、罰は受ける」
白龍「本当に、それで良いとお思いですか?」
トラスト「当然だろう? 責任者とは、責任を取るためだけに存在するんだからね」
白龍「良い上司を持ったものです」
トラスト「君も良い部下だったよ、ミス白龍」
   構えるトラスト。
トラスト「タイガー会心の一撃!」
   トラストの攻撃を受け、右腕を斬り落とされる白龍。
白龍「あぁっ!?」
   白龍の左手と斬られた右腕に手錠をかけるトラスト。その腕、右腕を白龍に戻す。
トラスト「ヘイ、ミス白龍。白虎隊への敵対容疑で逮捕する」

○同・中
   対峙する朱雀と坤。左手で服部の右腕を抱えているため、坤の攻撃を避ける一方の朱雀。
坤「その腕、煩わしいだろう? 捨てたらどうだ?」
朱雀「父上の腕、離せる訳がないだろう?」
坤「意地っ張りな奴だ」
朱雀「意地っ張りなら、僕より上がいるよ」

○同・庭
   戦う三瓶と艮。やや振り回されるような形で薙刀を振るう三瓶。
三瓶「どうだ? 恐れをなして逃げ帰るか?」
艮「そんな攻撃、当たりやしないよ」
三瓶「どうかな?」
   薙刀を振るう三瓶、それを避ける艮。
艮「お前さん、何でそこまでその武器に拘るんだい?」
三瓶「前にも言っただろう? これは、この俺の意地だ」
   薙刀を構える三瓶。
三瓶「この重さにも、やっと慣れたぜ」
艮「(驚愕の目で)何と……」
三瓶「さぁ、この俺の意地に、恐れおののけ」
   薙刀を振りかぶる三瓶。
三瓶「玄状意地(げんじょういじ)の一撃!」
   三瓶の攻撃を受け、倒れる艮。
艮「老兵は死なず、ただ……」
   気を失う艮。

○同・中
   対峙する朱雀と坤。服部の右腕を掲げる朱雀。
朱雀「僕は自分の腕を取り返すまで一本腕として戦うつもりでいた。だが、僕の意地はここまでだ」
坤「まさか……」
   服部の右腕を自身の右腕部分に取り付け、二本腕となる朱雀。
朱雀「父上、力をお貸しください」
   刀を手に駆け出す朱雀。

○同・庭
   戦う蒼龍と青龍。青龍の剣撃を右腕で受け止める蒼龍。
青龍「便利な腕を手に入れたもんだな、兄貴」
蒼龍「まぁな。確かに、強大で危険な力だが、
大事なのはどんな人間が使うか、だろ?」
青龍「それだけの力を手にして、何をする?」
蒼龍「愛する人を守るんだよ」
青龍「その程度の事なら、気合で何とかなる」
蒼龍「甘いな、弟よ。もし愛する女を守るために、全世界を敵に回さなきゃならなくなったら、どうする?」
青龍「は?」
蒼龍「つまり、どんな状況でも確実に愛する女を守りたいなら、必要なのは『世界を滅ぼせる力』だ。それが、俺の愛だ」
青龍「だったら、その愛とやらで俺の気合を超えて見せろ」
蒼龍「望むところだ」
   構える蒼龍と青龍。
青龍「気合紺青の一撃!」
蒼龍「相思蒼藍(そうしそうあい)の一撃!」
   ぶつかり合う両者の技。相打ちの形で両者倒れる。

○同・中
   戦う朱雀と坤。優勢な朱雀。
朱雀「父上の力で、父上の無念を晴らす!」
坤「くっ、何だこの強さは……?」
朱雀「知らないのか? 僕の強さは……」

○(回想)服部邸・庭
   三年前。
   剣の稽古をする朱雀と服部。
服部「うん。良い太刀筋だな、合格だ」
朱雀「父上、それでは……」
服部「あぁ、お前はもう立派な服部流の剣士だ、朱雀。何かを成し遂げる日が来る事も、そう遠くあるまい」
朱雀の声「僕の強さは……」

○屋敷・中
   坤に対し刀を構える朱雀。
朱雀「お墨付きだ!」
   坤に斬りかかる朱雀。
朱雀「服部流最終奥義、鳳莱雀水(ほうらいじゃくすい)の一撃!」
   朱雀の剣撃を受け、二本の義腕を両方斬り落とされ、倒れる坤。
坤「煩わしい親娘め……」
   意識を失う坤を見下ろす朱雀。右腕を握り締める。
朱雀「父上……」

○同・前
   多くの白虎隊員が行き来する。手錠をかけられ連行される坤、艮、白龍。
雲雀の声「終わったんですね」

○同・庭
   白虎隊員の姿を見送る朱雀、三瓶と雲雀。朱雀は一本腕の姿に戻っており、服部の右腕は雲雀が抱いている。
朱雀「まぁ、ひとまずはな」
三瓶「……そういえば、白虎はともかく、朱雀の許嫁はどこ行った?」
雲雀「あぁ、それでしたら……」

○町C・市場
   手錠をはめられ、トラストら白虎隊の面々に連行される蒼龍。
トラスト「もうOKだろう、ミスター巽?」
蒼龍「何の話だ?」
トラスト「僕が捕まえたいのは君じゃない、君の弟だ」
   蒼龍の手錠を外すトラスト。
トラスト「弟を逃がすためにわざと誤認逮捕されるとは、正気かな?」
蒼龍「なに、ただの兄弟愛だ」

○道中
   高台に立つ青龍。視線の先、遠くに見えるのは並んで歩く朱雀、三瓶、雲雀。
    ×     ×     ×
   並んで歩く朱雀、三瓶、雲雀。
三瓶「それにしても良かったのか? せっかくの二本腕が」
朱雀「構わない。僕が興味あるのは、僕自身の腕だ。それに……」
   顧客リストを取り出す朱雀。
朱雀「艮黒龍の顧客リストは手に入れた。この中に、僕の腕を買った人間がいるハズだ」
三瓶「ソイツを探しに行くという訳か。仕方ない、ここまで来たら、意地でも付き合ってやろう」
雲雀「新しい旅の始まりですね」
朱雀「あぁ、上等だ」
              (第四話 完)

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