青春コンパクト 学園

星野綾(15)はまだ恋に憧れる年頃。学校の先輩に声をかけられただけで浮かれる高校生活。そんな彼女を大事に思う根岸佳也(15)の気持ちに綾は気付いていない。2人の距離はまだまだ遠い。
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第一稿

「青春コンパクト」

人 物

星野綾(15)高校1年生
志村春香(15)高校1年生
根岸佳也(15)高校1年生
水野ロベルト(17)高校3年生


○駅ビル ...続きを読む
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「青春コンパクト」

人 物

星野綾(15)高校1年生
志村春香(15)高校1年生
根岸佳也(15)高校1年生
水野ロベルト(17)高校3年生


○駅ビル・全景

○同・テナント雑貨店・外

私服姿の星野綾(15)と志村春香(15)。ガラス窓越しに店内のディスプレイ棚を眺めている。

綾「やっぱり可愛いんだよねぇー」

春香「だったら買っちゃいなよ。綾」

5枚の花びらが丸みを帯びた形にデフォルメされたデザインのピンクのコンパクト。蓋の内側には丸い鏡。ディスプレイ棚に陳列されている。

綾「えーっ?やっぱ買うべきかなー?」

迷う綾の背後から、水野ロベルト(17)が声を掛ける。

ロベルト「買っときなよ。可愛いじゃん」

綾と春香、声に驚き振り返る。ロベルトが微笑んでいる。

綾「ロ、ロベルト先輩!」

ロベルト「あっ、ビックリさせちゃった?ごめんごめん。でも迷ってるんなら買っといた方が良いと思うよ」

ロベルトの爽やかな笑顔。白い歯がキラッと光る。そこに遠くからの声。

ロベルトの友人の声「おい、行くぞー」

ロベルト「(大声で)分かってる。今行くよー」

ロベルト、綾と春香に振り返り、

ロベルト「じゃーね、バンビーノ。チャオ」

後姿を見送る綾と春香。ロベルトの姿が消え、2人はキャーキャーと騒ぐ。

○マンション・外観(夜)

6階建て。灯りがまばらに点いている。

○同・星野家・玄関・外(夜)

小鳥のデザインの『星野』の表札。

○同・綾の部屋・中(夜)

綾、ベッドで転がり歓喜の声を挙げる。

綾「キャー、先輩としゃべっちゃったー」

花びら型のピンクのコンパクトを手に取る。鏡に映る自分に話し掛ける。

綾「綾?先輩と付き合っちゃう?どうする?」

綾。ベッド上で足をバタバタさせる。

○葉山南高校・正門(夕)

『葉山南高等学校』のプレート。

○同・グラウンド(夕)

サッカーウェアを着たロベルトが走っている。遅れてジャージ姿の根岸佳也(15)がその後を荒い息で走っている。

○同・二階教室・中(夕)

窓際の席。綾と春香が座っている。

春香「やっぱ先輩、格好良いよね!」

綾「学校で一番のアイドルだもんねー。うーん、昨日はもっと話したかったなぁーー」

綾、花びら型のピンクのコンパクトを取り出し夕日にかざす。丸く小さな光がグラウンド隅の水飲み場を照らす。

春香「先輩ってさぁ、イタリア人のハーフじゃん?『チャオ』とか普通に言えちゃうし」

綾と春香、小さく笑う。

春香「1日経ってちょっと冷静になったらね。なーんか私とは世界が違うっていうか何ていうか………(笑いながら)向こう側の人って感じがしちゃってさぁ」

綾「(笑いながら)何それ?」

綾、コンパクトの光の照準を、走るロベルトの背中に合わせようとしている。

春香「(照れながら)だからね、そのぉ………私は等身大の恋をすることにしたんだぁ」

綾、好奇の目で春香を見て、察する。

綾「えっ?何?誰よ?言いなよっ。こらっ」

はしゃぐ綾と春香。

○同・グラウンド(夕)

走る佳也。前を走るロベルトの背中に小さく揺れる丸い光に気付く。立ち止まり、校舎を見上げると2階に綾の姿。

○同・廊下(夕)

壁にポスター。『6月7日(土)13時部活対抗マラソン大会開催』の文字。

○県道沿い・歩道(夜)

走る佳也。次第に全速力になる。

○葉山南高校・二階教室・中(夕)

綾、コンパクトの光を、走るロベルトの背中に当てる。遠くから軽音楽部の演奏する曲が流れてくる。

○同・グラウンド隅・水飲み場(夕)

佳也が水を飲む。佳也、校舎の陰でロベルトが女子生徒とキスするのを目撃する。佳也、その場を立ち去る。

○県道沿い・歩道(夜)

はしゃぎながら歩く綾と春香。走る車のヘッドライトが2人を照らす。

○葉山南高校・二階教室・中(朝)

佳也。綾と春香の座る窓辺に近付く。

佳也「おはよう。星野」

綾「おはよう。珍しいじゃん。どしたの?」

佳也、少し動揺した口調で、

佳也「えっ?そんな事ないじゃん。普通の朝の挨拶だよ。普通、普通」

綾「で?何?どしたの?」

佳也「えっ?あぁ……土曜のマラソン大会ね、俺も出るんだけど………そ、その、観ていかない?……で、その……応援とか………」

綾「(意外そうに)卓球部も大会に出るの?」

春香「私達は観てくよ。ねっ?綾」

佳也の顔がパッと明るくなる。

綾「うん。観てくつもりだよ。(笑って)根岸のことも応援してあげるよ」

佳也「(裏返った声で)えっ?本当?」

春香「そうだね。ついでだしね」

春香、察してニヤっと微笑む。佳也、照れた顔で春香を軽くニラむ。

×   ×   ×

授業中。綾はコンパクトに自分を映し、顎のニキビに気付く。斜め後ろの席、佳也が綾を見つめる。綾、コンパクト越しに佳也と目が合う。互いに目を逸らす。綾、ニキビをしきりに気にする。

○ドラッグストア・外観(夜)

○同・店内(夜)

制服姿の綾と春香。

綾「こんな顔じゃ先輩に見せられないよー」

春香「でもさー、それって『思われニキビ』なんじゃないのー?」

綾「えーっ?それってもしかして先輩が私のことを?キャーッ」

はしゃぐ綾と春香。店内の離れた場所にいるロベルトの姿を綾が見つける。

綾「あっ!先輩発見!」

春香「何買いに来たんだろうね?」

綾「偵察しちゃう?」

春香「行ってみよ?」

ロベルト、四角い小箱を持ちレジに向かう。入れ替わるようにロベルトのいた棚に向かう綾と春香。棚には避妊用品が並んでいる。強張る綾の顔。春香、両腕を広げて綾を優しく抱きしめる。

○葉山南高校・正門

下校する生徒達が数人。

○同・廊下

マラソン大会ポスターの前を各部の選手がユニフォーム姿で通り過ぎる。

○同・二階教室・中

綾と春香、窓際の席に座っている。

春香「あれ。根岸とロベルト先輩じゃない?」

綾「えっ?根岸と先輩?何やってんだろ?」

綾の手には花びら型のコンパクト。

○同・マラソン大会・スタート地点

各部員、ユニフォーム姿で体をほぐしている。佳也、ロベルトの隣に立つ。

ロベルト「あれ?今年は卓球部も出るの?」

佳也「はい。負けませんよ、先輩」

ロベルト「言うねー卓球部。でもね。『日暮れ前には帰って来なさいよ?じゃないとママ、心配しちゃうから』」

佳也を茶化し、笑うロベルト。

佳也、教室の方を向き綾の姿を確認する。両腕で大きく手を振る。

○同・二階教室・中

春香、大きく手を振る根岸に気付く。

春香「あっ、根岸がこっちに手振ってる」

春香、手を振り返す。綾が手にするコンパクトに気付く。

春香「綾。根岸にも光、当ててあげなよ」

春香、綾の手を掴み、コンパクトの光を根岸に当てようと太陽にかざす。

綾「あっ、ちょっと…」

○同・マラソン大会・スタート地点

佳也、綾の教室から反射する小さな鏡の光に気付く。笑うロベルトに向かい、

佳也「時間かけてる場合じゃないんですよ」

精一杯イキがる佳也。一呼吸置き、大人振った口調でロベルトに言う。

佳也「好きな女を………待たせてるんで」

○同・二階教室・中

綾、大きく両手を振る佳也を見て、

綾「(笑って)ガキだね、等身大のガキだね」

春香、掴んだ綾の手を離し、微笑む。

綾、コンパクトの光を佳也に当てる。

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