鏡越え ドラマ

手のかかる息子が親元を離れるときの母親の気持ち。この後龍生はめっちゃ泣きます。
橘ゆづは 10 0 0 08/04
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第一稿

人 物
各務夏子(52)(60)専業主婦
各務龍生(22)(30)夏子の息子。会社員
遠藤有希乃(32)アパレルショップ店員
野崎晴美(48)夏子のママ友

〇龍生の家 ...続きを読む
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人 物
各務夏子(52)(60)専業主婦
各務龍生(22)(30)夏子の息子。会社員
遠藤有希乃(32)アパレルショップ店員
野崎晴美(48)夏子のママ友

〇龍生の家・部屋(朝)
   各務龍生(22)、タンクトップ姿で、ハンガーにかかったワイシャツを持っている。
   しわくちゃな状態で乾いている。
龍生「うーん」
龍生、ベッドの上の目覚まし時計を見て、
龍生「ま、いっか」
   と、シャツに袖を通す。

〇龍生の家・洗面所
   各務夏子(52)、洗面所を雑巾で拭いている。
   夏子、顔を上げて洗面台の鏡を見ると、顔がよく見えないほど水垢などで汚れている。
   夏子、鏡をピカピカに拭く。

〇同・部屋
   夕飯をせっせとテーブルに並べている夏子。
   部屋は服や本で散らかっている。
   夏子を見ながら、スーツ姿の龍生、ネクタイを外し、
龍生「やっぱ一人暮らし大変だわ。たまに来てもらえるのほんと助かる」
夏子「あんた料理はともかくせめて掃除くらいしなさいよ。鏡なんか映らないくらいだったじゃない。どうやって歯磨きしてんの」
龍生「感覚!」

〇スーパー・自転車置き場
   夏子と野崎晴美(48)、並んでいる自転車の隣で立ち話をしている。
夏子「って言うのよー。もうほんと手がかかるわあ」
晴美「あら、かわいいじゃない龍生くんいくつになっても変わらなくて」
夏子「少しは成長してもらわないと結婚もできないわ」
晴美「何言ってるのー。すぐ見つかるわよしっかりしたお嫁さん」
夏子「そうかしらー?」
晴美「うちの子なんか、こないだ初めて彼女を紹介しに来たと思ったら」
夏子「あらいいじゃない。彼女いるだけ」
晴美「それがすっごいケバいの。あんな子じゃあねえ」
夏子「あはは。それはねえ」
晴美「頼むから順番間違えたりしないでねって何回もくぎ指しちゃった」
夏子「えー?何の順番?」
晴美「子どもよー。最近多いでしょ?先につくっちゃうやつ。しかもわざとだったりして」
   夏子、頷いて、
夏子「そうねえー。最近結婚した、あれ誰だっけアイドルとイケメン俳優の」
晴美「竹なんとかだったかしら」
夏子「そうそう、あれも絶対わざとよねー」
晴美「そうそう。そうでもしないと結婚してくれなさそうよね、最近の」
夏子「なんかなよいよねー最近の」
晴美「男の人ねー。決断力がないっていうか」
夏子「わたしたちのときなんてさー、ちゃんと男性から」
晴美「あ、ごめんドライアイス、溶けちゃう」
   と、持っていた手提げを上げる。
夏子「あ、ごめんごめんじゃあ、またお茶でも」
晴美「うん、ごめんねゆっくり話せなくて」
夏子「いいのいいの。ごめんねこんなとこで引き留めて」
   晴美、自転車にまたがり、去る。
   夏子、スーパーの中に入っていく。

〇フォーマルウエアショップ
   入り口のセール品を見ている龍生(30)。
   半袖シャツが並んでいる。
   龍生、いくつか手にとっては戻す。
有希乃「よろしければ中にサンプルあるので試着もできますよ」
   と、遠藤有希乃(32)、龍生に近づき微笑みかける。
   龍生、有希乃を見てクシャっと笑い、
龍生「サイズ、わかんなくて」

〇同・試着室
   鏡のほうを見て、両腕を広げている龍生。
   後ろから、龍生の体をメジャーで測っている有希乃。
   鏡越しに目が合う龍生と有希乃。
   龍生照れたように笑う。

〇イタリアンレストラン・中
   テーブル席に座り、外の道行く人を見ている有希乃。
   テーブルには二人分の料理が並んでいる。
   スマホを持った龍生、慌てた様子でテーブルに戻ってきて、
龍生「ごめん。おふくろがうるさくてさ。ちゃんとやれてんのかって」
   と、有希乃の向かいに座る。
有希乃「そりゃ心配するよー」
龍生「え、なんで。俺もこっち来て結構経ってるし、それなりに仕事も家事も」
有希乃「できてないって(笑)」
龍生「ええー」
有希乃「誰のおかげだと思ってんの」
   龍生、肩を落として、
龍生「ごめんなさい……」
有希乃「冗談よ」
   龍生、急に明るく、、
龍生「一生ついていきます」
   有希乃、笑って、
有希乃「さ、食べるよ冷めちゃう」
龍生「いっただきまーす」
   と、ピザを取り、おいしそうに頬張る。
   それを優しい目で見つめる有希乃。

〇龍生の家・部屋(夜)
   きれいにたたまれた服、片づいた部屋。
   テレビのバラエティ番組を見ている龍生。
   チャイムが鳴る。

〇同・玄関~部屋(夜)
   龍生、ドアを開けると夏子(60)が大荷物を持っている。
龍生「わざわざいいっていったのにい」
   と、夏子の荷物を持って夏子を招き入れる。
夏子「いいのよ。ついであったし」
   と、ずかずかと部屋まで行き、整頓され具合に目を見張る。
龍生「お茶でも飲む?」
   と荷物を置き冷蔵庫に向かう。
夏子「龍生、あんた……」
   龍生、冷蔵庫からお茶を出して、
龍生「ん?」
   と振り向く。
夏子「……手、洗ってくるね」
   と、洗面所に向かう。

〇同・洗面所(夜)
   きれいに磨かれた鏡。
   鏡に映る夏子の顔、寂しそう。

〇同・部屋(夜)
   座ってお茶を飲む夏子、ボーっとテレビを見ている。
   龍生、隣に座って、
龍生「おれさあ」
   パッと龍生を見て、
夏子「結婚?」
龍生「え?」
夏子「いや」
龍生「え、なんでわかったの?」
夏子「え、ほんとにするの?」
龍生「え、なんで?え?」
夏子「まさか……」
龍生「……おれ、パパになるんだよね」
   沈黙。
   夏子、手に持ったコップを見つめて、
夏子「……順番……」

〇野崎家・外
   ドアの外で晴美、紙袋の中をのぞく。
   晴美のそばには得意げな夏子。
晴美「そんなお土産なんて、こんなたくさん」
夏子「大したものじゃないわよ。それより、
龍生、年上のお嫁さんもらうことになって」
晴美「あら、結婚?」
夏子「そうなのよー」
晴美「おめでたいじゃなーい」
夏子「しっかりしてそうでよかったわー」
晴美「各務さんもおばあちゃんになるのかしら?」
夏子「いつの間に知り合ったのかとか、何も詳しいこと教えてくれなくて、少し寂しいわ」
晴美「そうよねー。そんなもんよねー」

〇結婚式場・控室
   壁の鏡に顔を寄せて、髪の毛をいじるタキシード姿の龍生。
   ドレス姿の有希乃、龍生の反対側の鏡の前に座っている。
龍生「変じゃないかなあ」
有希乃、鏡越しに龍生を見て、
有希乃「いつまで気にしてんのよ」
龍生「だって一生に一回だよ?」
有希乃「それより、しっかりしてよ?泣いてしゃべれないとか、やめてね?」
   龍生、振り返って、
龍生「それは任せて!」

<終わり>

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