今ある奇跡を大切に。 恋愛

大学生の渡辺風太と竹藤彩音は、仲良しカップル。2人には常に行動を共にしている、仲の良い友達がいた。友達ぐるみで仲良くしていた二人は満ち足りた日々を過ごしていた。 そんな満ち足りた日々の歯車は、たった一切れのパンケーキで狂い始める…。 ……この物語の登場人物は最終的に誰も傷つかず、全員が幸せなラストを迎えます。 でも…この物語を見た観客だけは切なくなる…そんなラストを迎える…人と人の絆の物語。
古屋貴幸 648 7 0 04/14
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第一稿

題名「今ある奇跡を大切に。」

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題名「今ある奇跡を大切に。」

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2019.4/14(日)
古屋 貴幸(ふるや たかゆき)

【登場人物】
渡辺風太(21)大学生。
竹藤彩音(21)大学生。風太の彼女。
金沢大(21)風太の友人。
浜田博之(21)風太の友人。チャラい。
宮本茜(21)彩音の友人。気が強い。
奥村加代子(21)彩音の友人。オカルトに詳しい。
池田りか(21)彩音の友人。
柏木正人(27)加代子の彼氏。
こまめ(0)加代子の娘。

先生、強盗、警官たち、カフェ店員、キャスター、店主、客。



「今ある奇跡を大切に。」

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○交差点(朝)
   “小さな蝶が飛んでいる”
   “空からは交差点ですれ違う人々の姿が見える”
   強い風が吹いてきて吹き飛ばされる蝶。
   吹き飛んだ先に学校が見える。 
   窓から外を見る竹藤彩音(21)の姿。

○大学・教室(朝)
   渡辺風太(21)金沢大(21)浜田博之(21)宮本茜(21)奥村加代子(21)池田り
   か(21)彩音が授業を受けている。
先生「つまり全宇宙にどのくらいの地球外生命体が存在するか。それを推定する方程式。これがド
 レイクの方程式です。(彩音を見て)竹藤。おい、竹藤」
彩音「は、はい!」
先生「(黒板を指し)説明してみろ」
彩音「え…えっと…」
   彩音の方にゆっくり近づく先生。
風太「先生!」
先生「なんだ、渡辺」
風太「その方程式を使えば宇宙人の数が分かるってことですよね?」
先生「何で先に答えを!俺は竹藤に---」
風太「(遮り)つまりその方程式を応用したら運命の人と出会う確率も導きだせるんじゃないです
 か?」
先生「(興味を持ち)ああ…確かに」
博之「すげー!!俺、10人!俺10人!」
茜「運命の人って言ってんだから普通1人だろ」
博之「あ、そっか」
   笑いに包まれる教室。
   チャイムが鳴り、授業が終わる。
彩音「(口文字で)あ、り、が、と、う」   
   顔を見合わせ微笑み合う、風太と彩音。

○同・食堂(昼)
   風太、大、博之、彩音、茜、加代子、りか。仲良く昼食をとっている。
博之「あーやっぱここのたまご丼は最高だー」
風太「ほんっと!世界一うまいよな!」
茜「お前ら幸せの価値観低すぎかよ」
   何かをノートに書いている加代子
りか「ねぇ、さっきから何書いてるの?」
   難しい数式でびっしりのノート。
加代子「さっきの質問面白かったから」
博之「うわっ。なんじゃこりゃ」
茜「食いながら話すな」
りか「ねぇねぇ、これどういう意味?」
加代子「ドレイクの方程式を応用して、運命の人と出会う可能性を導きだしてみたの」
りか「え!すごーい」
彩音「何それ!ロマンチック」
加代子「だいたいだけど、10万人と出会って、両思いになれるのは5人くらいかな」
茜「え、少なっ」
加代子「あくまで確率論だけどね」
博之「俺だったら10人と出会って10人とヤレる自信あるぜ」
茜「最悪…」
彩音「せっかくのロマンチックが…」
大「風太、彩音ちゃんのことこれからも大切にしてやれよ」
風太「(考え事をしている)」
大「風太。おーい。風太」
風太「ん?ああ。ああ、そうだな」
   風太を見つめる彩音。

○通学路(夕方)
   風太と彩音が歩いている。
彩音「ねえ。さっき学食で何考えてたの」
風太「何って?」
彩音「大くんの質問にちゃんと答えなかったじゃない」
風太「ああ。あれか」
彩音「ねえ!はっきり言ってよ。他に好きな人でもいるの?」
   突然、彩音を抱きしめる風太。
風太「10万人に1人!」
彩音「え?」
風太「俺たちがこうして一緒に居られるのって、凄いことなんだなぁって」
彩音「(嬉しい)バッカみたい」
風太「明日さ、二人でドライブに行かない?」
彩音「え、行きたい!どこ行く?」
風太「江の島にね“この金を鳴らした二人は永遠に結ばれる”って言い伝えのある場所があるんだっ
 て」
彩音「へぇ〜ロマンチック」
風太「彩音と二人で鳴らしたいと思って」
彩音「(嬉しい気持ちを隠し)考えておくね」

○国道134号線(朝)
   青い空と、青い海。
   一台のレンタカーが走っている。
   彩音が窓を全開にすると、車内に海風が流れ込んでくる 
彩音「サイコー!!」
   彩音の楽しそうな笑顔。
風太「(それを見て)サイコー!!」

○江の島(朝)
   江の島デートを満喫する二人。

○同・見晴らしのいいベンチ(朝)
   綺麗な景色にご満悦な様子の彩音。
   風太、マジックと南京錠を取り出す。
風太「(得意げに)じゃーん」
彩音「なぁに?これ」
風太「ここに2人の名前を書いて鐘を鳴らすと、永遠の恋が叶うんだって」
彩音「え〜私、風太と一生結ばれるの〜」
風太「いいから書けよ(笑う)」
彩音「はぁ。私もっと色んなイケメン達とデートしたかったなぁ(書く)」
風太「俺でいいだろ」
彩音「え〜イケメン?え〜(書く)」
風太「素直に書けないの?」
彩音「書くのやめていい?」
風太「ごめんなさい」
   風太も自分の名前を書き、鍵の裏に「ずっと一緒にいられますように」と書き加える。
   その様子を見て嬉しそうに微笑む彩音。

○同・龍恋の鐘(朝)
   鐘を鳴らす二人。
   鐘を鳴らし終えると、近くの金網に南京錠を付け始める。
彩音「ねぇ〜手臭くなった〜」
風太「あとで洗えばいいだろ」
彩音「え〜やだ〜風太がつけて」
風太「だめ!2人でつけたいの」
   なかなかつかない南京錠。
彩音「ね〜疲れた〜」
風太「文句が多いな(笑う)」
彩音「(空を指差し)あ!」
風太「ん?(空を見上げる)」
彩音「ほら!着いたよ!」
風太「あ!一緒につけようって言ったのに!」
   笑い合う二人。
彩音「ごめんねっ!」
   風太に南京錠の鍵を渡し、歩き出す。
風太「あ、ちょっと待って」
   風太、鐘に手を合わせ。
風太「…また2人で来れますように」
   風太を見つめる彩音。
彩音「(小声)また2人で来れますように…」
   見つめ合う二人。
風太「せーの」
風太・彩音「また2人で来れますように!!」
   手を繋ぎ歩き出す二人。
   “鐘の音が鳴り響く”

○カフェ(夕方)
   綺麗な夕日が出ている。
彩音「綺麗だね」
風太「(彩音を見て)ね!綺麗だね」
彩音「ねぇ!夕焼けあっち!」 
   仲良く笑い合う二人。
   と、店員が“パンケーキとコーヒー”を手にやってくる。
   パンケーキには「1周年記念日。おめでとう」の文字。
   *風太、スマホで動画撮影を始める。
   頬杖をつき、ふてくされている彩音。風太「彩音ちゃーん。1周年!おめでとう」
彩音「……ありがとう」
風太「楽しいですか?」
彩音「……別に」
風太「なんでそーゆーこと言うんだよぉ〜」
彩音「私、パンケーキ嫌いって言ったじゃん」
風太「うん…でもここのは凄く美味しいの!」
彩音「だから?」
風太「だからどうしても食べさせてあげたくて。ね!一口でいいから食べてみて!」
   食べさせようとする。
彩音「嫌だって言ってるじゃん」
風太「一口でいいから!ね!騙されたと思って食べてみて!お願い!!」
彩音「……じゃあ一口だけね」
風太「うん!(食べさせる)」
彩音「う…(不味い)」
   “鐘の音が鳴り響く”

○浜辺(夜)
   波打ち際で夜景を眺める二人。
風太「まだ怒ってる?」
彩音「…」
風太「ごめんね」
彩音「ふん(そこまで怒っていない)」
風太「…じゃあ…もし仲直りしてくれたら
今度BBQに連れて行ってあげる」
彩音「え?」
風太「ずっと行きたがってたでしょ?」
彩音「まぁ」
風太「彩音の友達も一緒に!ね?」
彩音「うん」
   風太、そっと手を差し出す。 
   その手をそっと握り返す彩音。
風太「大好きだよ」
彩音「私も。大好きだよ」

○大学・校内カフェ(朝)
  彩音、加代子、茜、りか、談笑している。
彩音「でね!まっずい、まっずい、パンケーキを食べさせられたわけ。ほんっと大変だったよ。そ
 もそも記念日にパンケーキって(笑う)」
りか「風太君のこと大好きなんだね」
彩音「は?別に!なによ急に!!」
りか「だって風太君の話をしてる時の彩音ちゃん、いつも楽しそうだもん」
彩音「は?意味わかんない(赤くなる)」
   机の上に小石を並べている加代子。
彩音「あ!ねえ、ねえ、なにやってるの?」
茜「逃げたな」
加代子「宇宙人と交信してるの」
一同「…」
りか「(空気を察し)あ!そうだ!かよちゃんは彼氏とかいるの?」
加代子「(石を並べながら)私結婚するよ〜」
一同「えーーーー!!!!」
茜「けっ、結婚ってどういうこと?」
加代子「妊娠したの」
一同「えーーーーー!!!」
茜「あんたなにサラッと言ってんのよ」
加代子「(笑って)そういうことだから。遊ぶなら今のうちにね」
彩音「今のうちって」
茜「あーどいつもこいつも色気ずきやがって」
りか「茜ちゃん(笑う)」
彩音「あ!そうだ!かよが動ける内にみんなでBBQ行かない?」
茜「どうしたの?急に」
彩音「風太がね、私を怒らせたお詫びにBBQに連れて行ってくれるんだって」
茜「あーどいつもこいつもー!!」

○通学路(夕方)
   風太と彩音が歩いている。
彩音「ありがとう…」
風太「ん?」
彩音「BBQ、みんな喜んでくれたよ」
風太「良かった(微笑む)」
   彩音、手作りのアルバムを取り出し、
彩音「はい!こんな私にいつも優しくしてくれてありがとう」
風太「えっ、作ってくれたの?」
彩音「うん…ちょっと前から…」
風太「めっちゃ嬉しい!ありがとう(アルバムを開き)風太と彩音の大切な思い出」
彩音「ちょっと!家で見てよ!!」

○キャンプ場(朝)
   綺麗な川が流れている。
   BBQを楽しむ、風太、大、博之、彩音、加代子、茜、りかの姿。
   バレーボールを始める一同。
   椅子に座り眺めている加代子。
   博之、小皿と飲み物を手にやってくる。
博之「どうした?具合でも悪いのか?」
加代子「ううん。楽しいなぁ〜って」
博之「そっか。ならよかった」
   加代子に小皿と飲み物を渡す。
加代子「わ〜ありがとう」
茜「おまえって意外に良い所あるんだな」
博之「おお?!いつから居た」
茜「ずっといたわ!!」
博之「お…おう」
   と、ボールが転がってくる。
大「わりぃ、取ってくれ」
   博之、立とうとする。
茜「あーいい。いい。私が行くから」
   ボールを拾い、駆け出す茜。

○同・河原(朝)
   ゴムボールでバレーを楽しむ一同。
   茜がトスを上げると、強い風が吹いてきてボールが飛ばされる。
茜「あっ。ごめーん。取ってくるね」
    ×    ×    ×
    一人でボールを探す茜。
    川の中にボールが浮いている。
    ボールを取りに行く茜。
    深みにはまり溺れてしまう。
    ×    ×   ×
りか「茜ちゃん遅いね」
   河原の方が騒がしい。
彩音「ん?…え…茜!!茜!!」
   慌てふためく一同。
   博之、服を脱ぎ捨て走り出す。
   川に飛び込むと、溺れていた茜を救出し、お姫様抱っこで岸まで運ぶ。
   博之を見つめる茜。
   博之が王子様に見える。
博之「大丈夫か?」
茜「……(恋してしまう)」
博之「大変だ!息してないぞ!」
   博之、人口呼吸を試みる。
茜「キャー(ビンタ)」
博之「痛った」
茜「な、何するのよ」
博之「あ、いや、死んだのかと」
茜「勝手に殺すな!!(小声)別の意味で死にそうだったわ…」

○バンガロー・室内(夕)
   茜と博之、暖炉で体を温めている。
風太「じゃあ買い出し行ってくるね」
茜「私も行くよ」
彩音「いいの。二人は休んでなさい」
   部屋を出て行く一同。
博之「二人っきりになっちまったな」
茜「変なことしたら殺す」
博之「まあ、もうキスしちゃってるけどな」
茜「あ〜それを言うな〜」
   と、博之が咳き込む。
茜「大丈夫?」
   博之に毛布を被せ、背中をさする。
茜「無茶するからだよ」

○バンガロー・外観(夜)
   月が出ている。


○同・室内(夜)
   寄り添い合い、寝ている博之と茜。
   *その様子をスマホで撮影する風太。
   それを見てクスクス笑う一同。
   目を覚ます二人。
茜「ちょっとなに撮ってんの」
博之「ったく…ホントだよ(キメ顔)」
茜「そういうのいいから」
加代子「二人とも仲良しだね〜(微笑む)」
博之「あ、俺ら付き合うことになったから」
一同「えーーーー」
彩音「ちょっと!茜!本気?」
茜「まぁ、吊り橋効果ってやつ…かな?」
加代子「(拍手し)わ〜おめでとう〜」
博之「(拍手し)ありがと〜。って事なんで風太!彩音!」
風太・彩音「は、はい!」
博之「………俺にデートを教えてくれ」
風太「いや、なんだそれ」
彩音「いいね!ダブルデート!」
   盛り上がる一同。
   笑顔の絶えない幸せな光景。
風太N「何気ない日常。代わり映えのない毎日。もし過去に戻れるなら…僕はきっとそう答えるだ
 ろう」

○駅・駅前広場(朝)
   博之、茜、彩音の姿。
   風太に電話をかける彩音。
彩音「あ、もしもし。今どこ〜?」

○同・ホーム(朝)
   スマホを手に、早歩きで歩く風太。
風太「ごめん。今、着いた所」

○駅近くの銀行(朝)
   強盗が銀行から駆け出してくる。

○駅・駅前広場(朝)
   風太と電話をしている彩音。
   電光掲示板に天気予報が流れる。
   電光掲示板「本日“4月7日”のお天気は--」
   突然、辺りが騒がしくなる。
   逃げ惑う人々の中から突然、銃を手にした強盗が現れ、彩音を人質にとる。
彩音「きゃーーー」
   彩音、スマホを落とす。
電話「彩音!どうした?彩音!」
   錯乱状態の強盗、彩音に銃を突きつける。
強盗「この金は俺の物だ。俺の物だ。おい!動くな!!動くと撃つぞ!!」
   銃を構えた警官たちがやってくる。
警官「銃を捨てて両手をあげろ」
   銃を目にし、怯える強盗。
強盗「わー!!来るな!来るなー!!」
警官「落ち着け、落ち着け」
   銃声。

○同・駅のホーム(朝)
   風太のスマホから銃声と群衆の叫び声。
風太「彩音…彩音…?」

   メインタイトル『今ある奇跡を大切に。』

○定食屋(夜)
   暗い表情の風太、博之、茜。
茜「風太…少しは食べた方がいいよ」
   茜の肩に手を置き首を左右に振る博之。
風太「………」
   TVの音が聞こえてくる。
TV「次のニュースです。今日昼頃、○○駅路上で、女子大生が殺害される事件が--」
   博之、慌ててTVを消す。
客「おい、勝手に消すなよ」
博之「あっ。すみませ〜ん(会釈)」
客「早く着けろ」
博之「あれ?このリモコン壊れてる?」
   博之に近づく客。
客「貸せ…。貸せって言ってんだよ!」
風太「(小声で)うるせぇよ」
客「あ?おい兄ちゃん何か言ったか?」
風太「うるせぇつってんだよ!」
   風太、客を突き飛ばし店を飛び出す。博之「風太!」
茜「…あんな風太…初めて見た…」

○風太の家(朝)
   T「数日後」
   部屋には飲み干した酒の山。
   Gパン姿のまま床で寝ている風太。
   手には彩音とのツーショット写真が握られている。
   博之と大が部屋に入ってくる。
大「うっ。酒臭っ」
   カーテンを開ける博之。
博之「ほら!風太!朝だぞー」
大「おーい。いつまで寝てんだー」

○通学路(朝)
風太N「彩音が居なくなったあの日から…目に映る景色から色が消えた」
   博之と大がなるべく明るく振る舞おうと頑張っている。
   立ち止まり、路地を見つめる風太。
    ×    ×    ×
    *フラッシュ(回想として)
    世界が白黒である。
    彩音を抱きしめる風太。
    風太「10万人に1人!」
    ×    ×    ×
博之「風太、風太」
大「大丈夫か」
風太「ん?ああ、もちろん(歩き出す)」
   風太の後ろ姿を見つめる博之と大。

○(日替わり)大学・食堂(昼)
   風太、博之、大、茜、加代子、りか、昼食を食べている。
   彩音の座っていた席が空いている。
風太M「あんなに美味しかったここのたまご丼…全く味がしない」
    ×    ×    ×
    *フラッシュ(回想として)
    白黒の世界で彩音が楽しそうにたまご丼を食べている。
    ×    ×    ×
   彩音の座っていた席を見つめる風太。
   声をかけられない一同。

○(日替わり)大学・教室(朝)
   風太、博之、大、茜、加代子、りか、授業を受けている。
   彩音の座っていた席が空いている。
    ×    ×    ×
    *フラッシュ(回想として)
    顔を見合わせ微笑み合う風太と彩音。
    ×    ×    ×
   悲しそうに風太を見つめる加代子。
 と、突然苦しみだす加代子。
風太「加代子…?加代子!」
   騒然とする教室。

○総合病院・外観(朝)
   T「数ヶ月後」
   赤ちゃんの泣き声。

○同・病室(夕)
加代子の彼氏、柏木正人(25)、風太、博之、茜、大、りかの姿。
風太N「心に空いた穴はずっと埋まらなかった…でも悲しいことばかりじゃなかった」
   赤ちゃんを抱き優しく微笑む加代子。
茜「(博之をひっぱたき)何見とれてんだよ」
博之「いや赤ちゃん可愛いなぁ〜って。なあ」
風太・大「(過剰に頷き)うん!うん!」
茜「どうだか」
りか「(茜を見て微笑む)あ!そう言えばこの子の名前なんていうの?」
加代子「小さくて可愛いからこまめちゃん」
りか「加代子らしいね(苦笑い)」
加代子「こまめちゃん。生まれてきてくれてありがとう」   
   優しく微笑む正人と加代子。
   一瞬、こまめが笑ったように見える。
風太「あ!今、笑ったんじゃない?今、笑った気がする(笑顔になる)」
   風太を笑顔で見つめる一同。
風太「ん?」
加代子「ふ〜くん。やっと笑ったね」
風太「え?」
加代子「嬉しい。私ふ〜くんの笑顔好きだよ」
りか「私も」
大「俺も」
博之「俺らだって!なー?」
茜「うん!」
風太「みんな…。ありがとう、こまめちゃん」
   笑顔に包まれる病室。

○同・廊下(夜)
   こまめを抱く加代子と正人の姿。
   それを遠目に見ている風太。
風太「尊いな…命は(ほんの少し微笑む)」
    ×    ×    ×
    (フラッユ)
    楽しそうに笑っている彩音の姿。
    ×    ×    ×
   遠くから大の声がする。
大(声)「風太。置いてくぞー」
風太「(小声で)幸せになってね…。おう!今行く!」

○風太の家(夜)
   TVの前にはデジタル時計。
   「10月13日。0:18」の表示。
   アルバムを見ている風太。
   写真と共に彩音からのメッセージが添えられている。
   ページをめくってゆくと、龍恋の鐘の前で撮った写真が出てくる。
風太「10月13日…もう半年か。そうだ!」
   机を漁る風太。
風太「あった(南京錠の鍵を取り出し)2人では開けに行けなかったけど(微笑む)」

○江の島(朝)
 
○江の島・龍恋の鐘(朝)
   風太、歩いてくると鐘を見上げる。
   二人でつけた南京錠がある。
    ×    ×    ×  
    *フラッシュ(回想として)
    彩音「(空を指差し)あ!」
    風太「ん?(空を見上げる)」
    彩音「ほら!着いたよ!」
    風太「あ!一緒につけようって言ったのに!」
    楽しそうに笑い合う二人。 
    ×    ×    ×
風太M「彩音がいるだけで、何をしていても楽しかった…」
   風太、南京錠を外そうとする。
   南京錠が裏返しになり「ずっと一緒にいられますように」の文字が見える。
    ×     ×     ×
    *フラッシュ(回想として)
    風太・彩音「また二人でここに来れますように!!」
    ×     ×    ×
風太、南京錠を外すのをやめる。
風太「やっぱり…忘れられないよ…」

○カフェ(朝)
店員「ご注文は?」
風太「コーヒーとパンケーキで」
店員「かしこまりました」
風太「コーヒーとパンケーキ。懐かしいな」
   *以前この場所で撮影した動画を開き、再生する。
   “周囲が光に包まれる”
風太「(眩しさのあまり目を閉じる)」

○(過去)カフェ(夕方)
   風太が目を開けると、目の前に頬杖をつき、ふてくされた彩音がいる。
   彩音の前にはコーヒーとパンケーキ。
風太「え…彩音…」
彩音「(ふてくされている)」
風太「彩音!!彩音!!!」
彩音「ちょっとやめてよ」
風太「…彩音だ…彩音だ…」
彩音「(周囲を見回し)え、何泣いてんのよ」
風太「泣いてないよ」
彩音「分かった、分かったわよ(パンケーキを食べる)」
風太「どう?」
彩音「(不味い)う…」
   満面の笑みを浮かべる風太。
   “鐘の音”
   “周囲が光に包まれる”

○カフェ(朝)
   テーブルに突っ伏し眠っている風太。
店員「お客様、お客様」
   風太、目を覚ます。
   店員、パンケーキとコーヒーを置く。
   コーヒーを注ぐ店員。
風太「……。そうだ!女の子!ここに、こんな顔した女の子いませんでしたか?」
店員「お客様はお一人でご来店されましたよ」
風太「そう…ですよね」
店員「(注ぎ終え)ごゆっくりどうぞ」
   呆然とする風太。
風太「……そうだ」
   スマホの動画一覧を開く。
   パンケーキの動画の隣に“キャンプに行った時の動画”がある。
風太「いや…まさかね」
風太、パンケーキ動画を再生する。
   “周囲が光に包まれる”
風太「えっ」

○(過去)カフェ(夕方)
   頬杖をつき、ふてくされた彩音の姿。
風太「あ…あ…(嬉しさのあまり号泣)」
彩音「(驚き)ちょっと、どーしたの」
   彩音、慌ててハンカチを取り出すと、風太の涙を拭こうと身を乗り出す。
   パンケーキの上にコーヒーがこぼれる。
   とても食べられる状態じゃない。
彩音「あっ!ご、ごめん…」
風太「(首を振り)いいんだよ」
彩音「でも…」
風太「かえって良かったよ。だって食べたくなかったでしょ?」
彩音「……」
風太「でも彩音の事だからきっと無理して食べてくれたと思う」
彩音「うん…」
風太「そして機嫌が悪くなる」
彩音「よく分かってるね(苦笑い)」
風太「…今度はちゃんとしたケーキ食べに行こうね」
彩音「うん!私ね、みなとみらいにある--」
   “鐘の音”
   楽しそうに話す彩音の姿が消えてゆく。

○カフェ(夕方)
   *夕日が出ている。
   ゆっくりと目を開ける風太。
風太M「(スマホを握り締め)やった…やったぞ。一瞬だけだけど…動画を再生すればいつでも彩
 音に会えるんだ!」
   パンケーキの動画の隣にある、
   “キャンプ動画が消えている”
風太「あれ?(空を見上げ)夕日…?」
   と、電話がかかってくる。
   画面を見て驚く風太。
風太「…もしもし?」
彩音(電話)「ねぇ!メール見てる」
風太「あ…彩音?」
彩音「そうだよ!」
風太「…え(呆然)」
彩音「(ため息)まーた寝てたでしょ!」
    ×    ×    ×
    (フラッシュ)
    “キャンプ動画が消えている”
    ×    ×    ×
風太M「もしかして」
風太「今日って10月13日だよね?」
彩音「やーっぱり寝ぼけてる(笑う)もー。今日は4月7日でしょ!」
風太M「4月7日…やっぱり日付が戻ってる」
彩音「ねぇまさかディナーの約束忘れたの?」
風太「(小声)え?ディナー?」
風太M「どうなってんだ…彩音が生きていて、
俺は彩音とディナーの約束をしている?」
彩音「聞いてる?桜木町駅に18時だからね」
風太「(時計を見て)ごめん!直ぐ行く!」
彩音「はぁ。やっぱり忘れてた!!」

○江の島駅(夕方)
   電車に飛び乗る風太。

○桜木町駅・駅前(夜)
   息を切らせ走ってくる風太。
風太「彩音!彩音!」
   辺りを見回すが彩音の姿はない。
風太「(肩を落とし)なにやってんだ俺…」
彩音「本当よ」
   風太が振り返るとそこには彩音の姿。
   喜びのあまり涙を流す風太。
彩音「え…なに?どうしたの?」
風太「会いたかった…ずっと会いたかった」
彩音「昨日も会ったじゃない」
風太「(聞こえていない)会いたかった」
   突然、彩音を抱きしめる風太。
彩音「ちょっと!(周囲を見回し)恥ずかしいからやめてよ」
風太「嫌だ。もう少しこうさせて」
彩音「え、じゃ、じゃあご飯行こ!ね?もう怒ってないから。ね?風太。ね?」
   笑顔で彩音を抱きしめている風太。

○みなとみらい(夜)
   (モンタージュ)
   馬車道を手を繋いで歩く2人。
   レストランで乾杯をする2人。
   クレーンゲームでお揃いのキーホールダーを取り、喜び合う2人。

○遊園地・観覧車(夜)
   2人のスマホにはお揃いのキーホルダー。
   風太、窓から街の明かりを眺めている。
風太「街の明かりって切ないね」
彩音「え?」
風太「この明かりの一つ一つに人が居て、命があるんだなぁって」
彩音「どうしたの?急に」
風太「もしこの中の一つが突然消えたとしても誰も気にしないでしょ?でももし、この明かりのど
 こかに彩音がいたら、その明かりは俺にとって世界で一番大切な明かりになる。(彩音を見つ
 め)長生きしようね」
彩音「うん」

○通学路(朝)
   風太と彩音、手を繋ぎ歩いている。
   スマホに付けたお揃いのキーホルダーを見せ合い笑い合う。

○大学・教室(朝)
   博之と茜がもめている
   似たような柄の服を着ている2人。
博之「いいじゃんかよ〜」
茜「絶対いや!」
風太「おはよう。どうしたの?」
茜「博之と服かぶったの」
博之「(茜の隣に立ちピース)いえ〜い」
茜「もー。最悪」
彩音「朝から仲良いね〜」
風太「ほんとお似合いのカップルだよね」
茜「は?今なんつった?」
風太「え?お似合いのカップルって」
茜「やめてよ」
風太「ごめん。もしかして別れたの?」
   教室の空気がピリつく。
彩音「風太、からかいすぎだよ。謝って」
風太「え、あ、ご、ごめん」
風太M「どういうことだ…?」

○病院・病室(夜)
加代子「何だかすごいお話…でも…ふーくんがこんな話をするなんて…やっぱり何かあったとしか
 思えない」
風太「じゃあ信じてくれるの」
加代子「友達でしょ。それにこういうのってワクワクする(目を輝かせる)」
   加代子、ノートを取り出す。
   *加代子がノートに書いた絵がアニメーションで流れる。
   ×    ×    ×  
加代子N「つまりこういうことね。ふーくんの唯一戻れる過去、それがパンケーキの動画。この
 時、彩音にパンケーキを食べさせる→機嫌が悪くなる→仲直りにキャンプの約束をする→キャン
 プがきっかけで茜と博之が付き合う→ダブルデートをする事に→そのデートの待ち合わせ場所で
 彩音は強盗に撃たれちゃう。そして、今私たちがいるのは、ふーくんが彩音と喧嘩をしなかった
 事によって出来た時間軸。だよね?」
風太「うん」
加代子N「つまり、彩音にパンケーキを食べさせない→喧嘩にならない→仲直りの必要がなくなる
 →キャンプの約束が消える→博之と茜が付き合わない→ダブルデートの約束が消える→彩音は撃
 たれない」
   *アニメーション終わり。   
   ×    ×    ×    
加代子「そしてタイムスリップの条件は2つ。1つは鐘の音が入った動画である事。もう1つは動
 画の撮影秒数のみ過去に戻れる事」
風太「もっと長く撮影しておけば良かった…」
加代子「逆に短くて正解だったかもよ?多分ふー君が体験したのはバタフライ効果ね」
風太「バタフライ効果?」
加代子「うん!たった一切れのパンケーキが運命を変えたってこと!!」
風太「たった一切れのパンケーキが?!」

○風太の家(夜)
   TVが付いている。
風太N「たった一切れのパンケーキで運命が変わる。加代子の言葉はすぐ現実となった」
TV「次のニュースです。今日昼頃、○○駅路上で(音量を上げる)男が、現場に居合わせた少年を
 人質にとり、止めに入った男女が殺害される事件が発生しました。殺害されたのは少年の両親と
 みられ---」
   TVに一人で泣いている少年が映る。
風太「(TVを消す)……」

○通学路(朝)
    風太と彩音が歩いている。
風太「(立ち止まり)彩音…ごめん」
彩音「ん?(少し考え)ああ、茜なら大丈夫。ちゃんと謝れば許してくれるよ」
風太「違うんだ」
彩音「違うって?」
風太「俺は…俺は…人を殺してしまったんだ」
   突然、走り出す風太。
彩音「風太」

○大学・屋上(朝)
   彩音と撮った写真を見つめている風太。
   幸せそうな写真の中の2人。
風太「彩音…ごめん…。俺…人の幸せを奪ってまで幸せになれないよ…」
   パンケーキ動画を再生する風太。
風太「必ずまた2人で笑おう」

○江の島・ロンカフェ(過去)
   頬杖をつきふてくされている彩音。
   彩音の前にはパンケーキとコーヒー。
風太「彩音、聞いてくれ!」
彩音「食べたくない」
風太「違う!時間がない聞いてくれ」
彩音「なに」
風太「俺は未来から来た」
彩音「は?」
風太「(構わず続ける)俺はあと数秒で記憶をなくす。元の俺に戻る。その時の俺がBBQに誘う
 から絶対行って欲しい。あ、茜も誘って!で、そのBBQを機に茜と博之が付き合うことにな
 る。そして俺達とダブルデートをする事になる。そのデートの待ち合わせ場所で彩音は殺される
 んだ!」
彩音「さっきから何言ってるの?」
風太「でも彩音がそこに行かないと他の人が殺されちゃうんだ!だからそこに行って--」
   鐘の音。
風太「あっ!」
   彩音の口にパンケーキを押し込む。
彩音「何するのよ!!」
   薄くなっていく彩音のアップ。
   顔中クリームだらけである。
風太「(小声)よし、怒った。いいか!皆んなを連れて逃げるんだ!!(消える)」

○【#】大学・屋上(夕方)
   #のちに同じシーンが出てきます。
    夕日が出ている。
    息が上がっている風太。
風太「大丈夫だったかな…あ、そうだ!」
   スマホを開く。
   “BBQの動画が復活している”
風太「よし、博之と茜が付き合った」
   と、充電が切れてしまう。
風太「あっ」
   と、遊園地で取ったお揃いのキーホールダーが付いていないことに気づく。
風太「彩音!!(走り出す)」

○同・教室(夕方)
   風太、駆け込んでくる。
大「おー風太〜。おはよう」
風太「なあ!彩音見なかった?」
大「彩音ちゃん?そういや今日は見てないな」
りか「加代子の病院じゃない?」
風太「病院?」
りか「うん。この間、お見舞い行きたいねって話してたから」
風太「病院か!ありがとう!俺も行ってくる」
   走り去る風太。
りか「恋だね」
大「だな」

○病院・病室(夜)
   TVがついている。
風太「じゃあ信じてくれるの?」
加代子「友達でしょ。それにこういう話、嫌いじゃない(目を輝かせる)」
風太「(微笑み)加代子は変わらないね。でもここにも来てないなんて…」
加代子「(微笑み)ふ〜くんも変わらないよ」
風太「え?」
加代子「ずっと彩音だけを愛してる」
風太「…初めて本気で好きになった子なんだ。恋とか…もうそんな感情超えてて…」
加代子「愛してるんだね」
風太「うん…すごく…」
   と、TVの音が聞こえて来る。
TV「次のニュースです。今日、昼頃---」
風太「え…」
   驚く風太と加代子の表情。

○(過去)江の島・ロンカフェ(夕)
   T「少し遡ること、半年前」
    
    ×   ×   ×   ×
    【*ここから過去のシーン】
    “周囲が光に包まれる”
   一点を見つめ、放心状態の風太。
   顔中生クリームだらけの彩音。
彩音「ねぇ…ねぇってば!」
風太「はっ。あれ?俺…(記憶がない)」
   風太、彩音の顔を見て驚く。
風太「え、ど、どうしたの!」
   自分の服の袖で彩音の顔を拭く。
彩音「風太がやったんでしょ!」
風太「え?!俺が?」
彩音「突然、未来から来たとか、私が殺されるとか、わけ分かんないこと言い出してさ…(泣き出
 す)」
風太「え、あ、彩音?ごめん。俺、さっきまでの記憶が無くて…本当に無くて…その…」
彩音「この後、私をBBQに誘うんでしょ…」
風太「え、何で俺の考えてる事分かるの?」
彩音「全部自分で言ったんだよ!!」

○大学・カフェ(朝)
  彩音、加代子、茜、りか、談笑している。
彩音「でね、その後何したと思う?私の顔めがけてパンケーキをぶつけてきたの」
りか「えっ…」
茜「ひっど」
加代子「ふ〜君…そんな事する人には見えなかったのに…」
茜「冗談だとしてもそれはやりすぎだ」
彩音「でしょ〜」
茜「彩音はお人好しなんだよ!私だったら速攻別れる!そんなクソ男!」
りか「茜ちゃん」
加代子「ふ〜君にもきっと色々あったんだよ」
茜「何?色々って」
りか「まぁまぁ、これは彩音ちゃと風太君の問題だから」
茜「(そっぽを向く)ふんっ」
彩音「…ねぇ、茜」
茜「言っとくけど私は認めないから」
彩音「……茜ってどういう人がタイプ?」
茜「は?何よ急に」
りか「(空気を変えようと)あ!確かに!確かに!茜ちゃんのタイプ気になる〜」
加代子「(空気を変えようと)うん!うん!」
茜「(頬を赤らめ)な、なんだよ、お前ら」
彩音「ねぇ!博之とかはどう?」
茜「は!何で博之?あんなチャラ男ぜってーねぇは!(妄想)私の理想は〜背は180センチ以上
 で、白いシャツ着て白馬に乗ってて、笑うと白い歯が〜(妄想を続ける)」
りか「さ、そろそろ教室戻ろうか」
加代子「え〜もうそんな時間〜」
   彩音、妄想にふける茜を見て。
彩音M「うん。博之は絶対にないな」

○同・廊下(朝)
博之「なんだなんだ〜急に」
彩音「ごめん。あの、あのね」
博之「(格好つけ)待った。みなまで言うな。お前の言いたい事は大体理解した」
彩音「(ホッとして)ほんとー」
博之「ああ。言いにくかったよな」
彩音「うん」
博之「……禁断の果実か…いや、ダメだ!流石にダチの女に手は出せねぇ。でもキスくらいなら…(キスしようとする)」
彩音「ばか!!」
博之「ありゃ?」
彩音「私の事はどうでもいいの!私が好きなのは風太だけ!」
博之「違うのー」
彩音「当たり前でしょ!私が聞きたいのは茜のことどう思ってるかってこと」
博之「茜?いや〜アイツはただの友達だけど」
彩音「本当に?」
博之「ああ。ふつーに友達だな」
   博之を見つめる彩音。
彩音M「恋愛に発展するとは思えない…」

○通学路(夕方)
風太「…まだ怒ってるの?」
彩音「分かんない」
風太「そっか…」
彩音「でも嫌いになったわけでもない…けど」
風太「けど?」
彩音「けど茜と博之が付き合うとか意味不明な事言われて戸惑ってる…本人記憶ないし」
風太「ごめん」
彩音「(空に向かい)あーーー」
風太「うわっ。ビックリした」
彩音「考えてても仕方ない!」
   彩音、ニコッと笑い手を出す。
   嬉しそうにその手を握り返す風太。

○キャンプ場(朝)
   BBQを楽しんでいる一同。
   彩音だけは考え事にふけっている。
彩音M「確かこのキャンプで茜と博之が付き合うんだよね」
   肉の奪い合いをしている茜と博之。
彩音M「ん〜やっぱり付き合うとは思えない」

○同・河原(朝)
   茜がトスを上げると、強い風が吹いてきてボールが飛ばされる。
茜「ごめーん。取ってくるね」
   ×××
りか「茜ちゃん遅いね」
   河原の方が騒がしい。
彩音「………茜!」
   慌てふためく一同。
   博之、服を脱ぎ捨て、川に飛び込む。
彩音「博之!頑張って!頑張って!」
   博之、溺れていた茜を救出し、お姫様抱っこで岸まで運ぶ。
彩音「茜!」
   茜の元に駆け寄る彩音。   
   博之を見つめている茜。
彩音「…茜?」
    ×    ×    ×
     *フラッシュ(回想として)
   風太「そのBBQを機に茜と博之が付き合うことになる」
    ×    ×    ×
彩音M「これってもしかして…」
茜「キャー(ビンタ)」
博之「痛った」
茜「な、何するのよ」
博之「あ、いや、死んだのかと」
茜「勝手に殺すな!!(小声)別の意味で死にそうだったわ…」
彩音M「やっぱりそうだ」

○同・バンガロー(夜)
彩音N「それから風太の言った事は怖いほど現実になっていった…」
   寄り添い寝ている博之と茜。
   その様子をスマホで撮影する風太。
   それを見てクスクス笑う一同。
   目を覚ます二人。
茜「ちょっとなに撮ってんの」
博之「ったく…ホントだよ(キメ顔)」
茜「そういうのいいから」
加代子「二人とも仲良しだね〜(微笑む)」
博之「あ、俺ら付き合うことになったから」
一同「えーーーー」
彩音「……」
   ×    ×    ×
    *フラッシュ(回想として)
   風太「そして俺達とダブルデートをする事になる。そのデートの待ち合わせ場所で彩音は殺されるんだ!」
   ×    ×    ×
風太「彩音、彩音」
彩音「え?」
風太「博之が今度ダブルデートしようって」
彩音「え?あ、うん」
風太「楽しみだね」
彩音「ねぇ、行き先は私が決めてもいい?」

○路上(朝)
   タクシーに乗り込む彩音の姿。

○タクシー・車内(朝)
運転手「どこまでですか?」
彩音「○○水族館までお願いします」     
   走り出すタクシー。車窓を眺める彩音。
彩音M「何か大切な事を忘れてる気がする…」
   と、信号で止まるタクシー。
   横断歩道を一組の家族が手を繋ぎ渡っている。幸せそうな光景。
   それを何気なく見つめている彩音。
    ×    ×    ×
    *フラッシュ(回想として)
   風太「彩音がそこに行かないと他の人が殺されちゃうんだ!」
   風太「いいか!皆んなを連れて逃げるんだ!」
    ×    ×    ×
彩音「運転手さん!今すぐ○○駅に向かって貰えますか」

○水族館・外(朝)
   風太、茜、博之、彩音を待っている。
   メールの通知音。
風太「遅れるから先に入っててだって」
   
○駅・駅前広場(朝)
   一台のタクシーが止まる。
   人ごみの中心に走って行く彩音。
彩音「逃げてください!ここにいてはダメです!逃げてください!」
通行人A「なぁに?あの子」
通行人B「おい、なんか変なのいるぞ」
   誰も彩音の言葉に耳を傾けない。
彩音「なんで…なんで誰も聞いてくれないの。ここにいてはダメ!皆んな殺されちゃう。逃げて、逃げて。お願い!逃げて!」
   突然悲鳴を上げ、一斉に逃げ出す群衆。
彩音「良かった…」
   群衆の後ろに銃を持った強盗の姿。
   群衆に混じり逃げる彩音。
   と、子供が一人転んでしまう。
   子供の名前を叫ぶ母親の声。
   彩音、一瞬迷うが子供の元に駆け戻る。
   警官達がやってくる。
   子供を抱きかかえ逃げようとする彩音。
   銃声。
   警官の発砲した銃弾に倒れる強盗。
強盗「あの野郎…」
   強盗、逃げる彩音に発砲する。
   取り押さえられる強盗。
   倒れる彩音。血が流れ出す。

○水族館・館内
   茜と博之、楽しそうに魚を眺めている。
   少し離れた所で魚を眺めている風太。
   と、突然目がくらみ出す。
風太「うっ」
   “周囲が光に包まれる”
風太「あれ、この感覚前にも…」
   風太、消える。
   ×××
   風太を探す茜と博之。
博之「おーい!風太ー」
茜「風太ー。どこ行っちゃったんだろ」
博之「ワンチャン、彩音のこと迎えに行ったんじゃね?って事は俺ら二人っきり!」
茜「そうね(笑う)」
   手を繋ぎ歩いて行く二人。

○【#】学校・屋上(夕方)
   息が上がっている風太。
   ×   ×   ×   ×
  【*過去のシーン終わり】

○病院・病室(夜)
   呆然とTVを見つめる風太。
TV「--殺害されたのは都内の大学に通う、竹藤彩音さん21歳。彩音さんは逃げ遅れた子供を庇
 い--」
   TVを消し、うなだれる風太。
風太「加代子…今日って何日…」
加代子「4月7日」
    ×    ×    ×
     *フラッシュ(回想として)
    彩音「やーっぱり寝ぼけてる(笑う)もー。今日は4月7日でしょ!」
    カフェと屋上に夕日が出ている。
    ×    ×    ×
風太「夕日…そういう事だったのか」
加代子「え?」
風太「俺が唯一戻れる過去はパンケーキの動画のみでしょ」
加代子「うん」
風太「そのパンケーキを食べるか食べないかの影響が直接出る日。それが今日、4月7日なんだ…
 つまり戻ってくるのは過去を変えた影響が出た後ってこと…」
加代子「そんな…」
風太「どうすりゃいいんだよ…彩音かあの家族か…そんなの選べっこないよ…」
加代子「その動画の過去を、上手く未来に影響する様に変えられたら良いんだけど…」
風太「………そうか」
加代子「何か分かったの?」
風太「うん。加代子のおかげで」
加代子「私のおかげ?」
風太「(加代子を見て悲しげに)ありがとう」
加代子「どうしたの?」
風太「ううん。何でもない!早く彩音を取り戻しに行かなきゃ」
加代子「そかそか行ってらっしゃい!またね」
   「またね」という言葉に反応する風太。
風太「ぜっっったい!幸せになれよ!」

○風太の家(夜)
   机の上には風太と彩音の写真。
   楽しそうに笑っている写真の中の二人。
風太M「ずっと未来を変えようとしていたからダメだったんだ…」
   彩音の作ったアルバムを見る風太。
   鐘の前で撮った写真に目を止める。
風太M「(写真を見つめ)唯一戻る事の出来る彩音が生きている過去…その過去自体をなかった事
 にすれば、それまでの過去も消えていくはずだ。江の島に行かなかった過去…つまり彩音と出会
 っていなかった過去」
   震える手でスマホの動画一覧を開く。
   キャンプの動画の隣に、パンケーキの動画がある。
風太M「この動画を消せば2人は出会っていなかった事になるはずだ…そうすればあんな悲劇は起
 こらなかった…」
   風太の手が震える。
風太「なんで…なんで他の動画には戻れないんだよ…(写真の中の彩音の頬を撫でる)愛してる
 よ。出会ってくれてありがとう」
   風太がパンケーキの動画を消す。
   キャンプの動画が消える。
   それを皮切りに、今度は過去に向けてバタフライ効果が起きる。
   彩音と彩音の友達(加代子、りか、茜)に関する動画や写真が消えてゆく。
   アルバムの写真、机の上の写真、彩音に関する全ての思い出が記憶の結晶となって消えてゆ
   く。
風太「(泣きながら)大好きだよ。ありがとう」
   彩音が作ったアルバムを大切そうに抱きしめる風太。やがてアルバムも記憶の結晶となって
   消えてしまう。
風太「そうだ!」
   ノートを破り走り書きをする。
   風太の意識が遠のいて行く。

○風太の家(朝)
   デジタル時計には4月7日の表示。
大(声)「おーい風太ー。入るぞー」
   博之、大、部屋に入ってくる。
   と、博之がリモコンを踏みTVがつく。
TV「速報です。つい先ほど○○銀行で強盗事件が発生しました--」
博之「おい、これここの近くだぞ」
TV「犯人は現金を奪い逃走したのち、通報を受け駆けつけた警察官に取り囲まれると、突然パニ
 ックに陥り、自ら頭を撃ち抜き自殺しました--(消す)」
大「おい風太。もう昼過ぎてんぞ」
   ゆっくりと目を開ける風太。
風太「(頭が痛い)痛てて」
博之「なんだなんだ二日酔いか〜。ったく、飲むなら俺も誘えよな」
風太「(記憶がない)…覚えてない…」
大「程々にしとけよ〜」
博之「先、下行ってるぞ」
   部屋を出て行く二人。
   風太、何かを握りしめてる事に気づく。
風太「今ある奇跡を大切に…なんだこれ」
   外から博之の笑い声。
風太「あいつら」
   風太、紙切れをゴミ箱に投げ捨てると支度を始める。

○通学路(朝)
   談笑しながら歩く風太、大、博之。
   彩音を抱きしめた路地がある。
   その前を楽しそうに笑いながら通り過ぎる風太。

○交差点(朝)
   談笑する風太、博之、大。
博之「なあ、今日さ、学校終わったらカラオケ行かね?」
風太「おお!いいね!行こうぜ!」
大「あのなぁ。俺ら一応就活生なんだぞ」
博之「あのなぁ。大学生は一度きりなんだぜ」
風太「そうそう!今楽しまなきゃ一生後悔するぞ!」
博之「お!いいこと言うね〜」
風太「いえ〜い」   
   ハイタッチをし、盛り上がる二人。
   信号が青になり歩き出す。
大「全く…(微笑み)ちょっと待ってよ」

○同・反対側の交差点(朝)
   彩音、茜、りか、談笑している。
りか「この後どうする〜」
彩音「うーん。やっぱ集中して勉強するならマルイのカフェじゃない?」
りか「賛成!あそこなら静かだしね」
茜「あんたら服見たいだけだろ」
彩音「ばれたか〜」
りか「茜も行こうよ」
茜「私たち一応就活生なんだよ」
彩音「(歩き出し)ほら!青になったよ」
茜「聞け!」
りか「早く〜」
茜「(微笑み)もー!」

○同・交差点(朝)
   右側から風太たちが歩いてくる。
   笑顔で談笑している風太、博之、大。
   左側から彩音たちが歩いてくる。
   笑顔で談笑している彩音、茜、りか。
風太N「他人となってしまった僕たちは」
   交差点の中心で笑顔のまますれ違う一同。
風太N「この日、何も感じることなくすれ違った」
   反対方向に歩いていく一同。

○同・交差点上空(朝)
   “小さな蝶が飛んでいる”
   “空からは交差点ですれ違う人々の姿が見える”
風太N「世界では今日も沢山の命が消えている。でも僕にとってそれは、街の明かりが消えるのと
 同じ事だ。…もしそれが自分と繋がりのある人だったら…。その明かりは僕にとって世界で一番
 大切な明かりになる」
   どんどん離れていく風太と彩音。
風太「今ある奇跡を大切に」

○風太の家(朝)
   ゴミ箱の中にメモがある。
風太N「今ある絆を大切に。今ある出会いを大切に。だって…」

○江の島・龍恋の鐘(朝)
   風太と彩音がつけた南京錠がある。
   風太の書いた「ずっと一緒にいられますように」の文字が見える。
風太N「だって…あなたはこの世に一人しかいないのだから」
   
  
   南京錠が記憶の結晶となって消える。
   鐘の音が虚しく鳴り響く。  

              
                 

               
                   (了)

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